![オラクル (企業) オラクル (企業)](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/12/Oracle_Headquarters_Redwood_Shores.jpg/400px-Oracle_Headquarters_Redwood_Shores.jpg)
オラクル(Oracle Corporation)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州創業、テキサス州に本拠を置く、民間法人や公的機関を対象とするビジネス用途に特化したソフトウェア会社である。日本法人は日本オラクル。
2007年には世界で第3位のソフトウェア会社となる。
オラクルはデータベース管理システム (DBMS) を中心とした企業向けソフトウェアの開発・販売を行っている。また多数の買収によりソフトウェア市場でのシェアを高めており、
オラクルは、主力のデータベース管理ソフトウェア製品であるOracle Databaseに加え、データベース開発ツール、ERP、CRM、SCMなどの製品を持っている。クラウドコンピューティング分野にも力を入れており、クラウドコンピューティング全般の売上高(SaaS/PaaS/IaaSの合計)で世界6位(2020年現在)、SaaS分野で世界5位に位置している(2019年現在)。
認定資格としてオラクルマスターがある。
オラクルは、1977年にラリー・エリソンにより設立された。
1979年には、Oracle Databaseの最初のバージョンがミニコンピュータのPDP-11用に出荷され、商用として世界で最初の関係データベース管理システム (RDBMS) となった。
1994年には、DECのRDB部門を買収した。2005年には、JD Edwardsを買収した直後のピープルソフトを敵対買収し、ERPなどに進出した。2006年にはCRM大手のシーベル、2007年には業績管理ソフトウェアの最右翼であったHyperion Solutionsを買収し、同分野に進出するBIベンダーの買収合戦に先鞭をつけ、続く2008年にはアプリケーションサーバのBEA WebLogicを持つBEAシステムズを買収し、Oracle WebLogic Serverとした。
2009年4月にはサン・マイクロシステムズの買収合意を発表した。オラクルによるハードウェア事業を含む本格的な買収は、これが最初とされる。
2005年1月にピープルソフトを買収してから、オラクルは成長戦略として企業買収を行うようになった。
1990年、オラクルは10%(約400人)の従業員を解雇した。このときオラクルは倒産寸前まで追い込まれたが、その原因は同社の最前線のマーケティング戦略にあった。営業員は潜在的顧客になるべくたくさんの製品を一度に購入させようとする。そして、将来のライセンス売り上げまで今期の売り上げに計上し、自分のボーナスを増やそうとした。しかし、計上した将来の売り上げが実際に入金されない状況が生じ、問題が表面化した。結果としてオラクルは売上高を2回訂正せざるを得なくなり、売り上げを強調しすぎたことに対する集団訴訟を起こされ、示談でそれを収拾した。エリソンは1992年、オラクルが「信じられないビジネス上のミス」を犯したと述べた。
IBMはDB2およびSQL/DSという製品でメインフレームの関係データベース市場を独占していたが、UNIXおよびWindows向けの関係データベース市場では出遅れていた。このため、Sybase、オラクル、Informix(さらにはマイクロソフト)がミッドレンジとパーソナルコンピュータのデータベース市場を支配するチャンスが生まれた。
当初、オラクルはSybaseに技術的に遅れをとっていた。1990年から1993年までSybaseは最も成長が著しいデータベース企業だったが、すぐに合併と製品上の問題によってトップの座から陥落した。Sybaseは1993年にPowerSoftと合併したことによって、データベース技術への集中を失った。1993年、SybaseはWindows上で動作する同社のデータベース技術をマイクロソフトに売却し、それが Microsoft SQL Server となった。
1994年、InformixがSybaseからトップの座を奪い、オラクルの最大のライバルとなった。InformixのCEOフィル・ホワイトとエリソンの確執は3年に渡ってシリコンバレーの新聞の一面を飾った。1997年、最終的にオラクルはInformixを打ち破った。2005年11月、オラクルとInformixの争いに関する本が出版され、フィル・ホワイトがいかにして収監されるに至ったかを詳細に記している。
InformixとSybaseに勝ったオラクルは、しばらくの間データベース市場の独占を達成していたが、Microsoft SQL Server のシェアが大きくなり、2000年にはIBMがInformixを買収したことで状況が変化した。
2004年、オラクルの売り上げは14.5%伸びて62億ドルとなり、関係データベース市場でのシェアは41.3%でトップとなった(InformationWeek - March, 2005)。いくつかの情報源によれば2005年には、シェアが44.6%になったと見積もられている。当時はオラクルと競合するのは主に IBM DB2 と Microsoft SQL Server であり、SybaseとTeradataがそれに続いていた。オープンソースのデータベースではPostgreSQLとMySQLが広く使われている。EnterpriseDBはPostgreSQLをベースとしており、オラクルとの互換性機能をより低価格で提供するとしている。
アプリケーション市場では、オラクルはSAPと競合している。2007年3月22日、オラクルは詐欺と不正競争でSAPを訴えた。
ビジネスインテリジェンスソフトウェアの市場が成長するに連れ、様々な企業がオラクルやSAPの製品と競合する製品を投入するようになってきた。2008年にはSAPがビジネスインテリジェンス最大手BusinessObjectsを買収、2010年にインメモリーデータベースSAP HANAをリリース、同年にデータベース大手Sybaseを買収したことでデータベースおよびアナリティクス市場の勢力図は一変した。 2017年現在、オラクルのリレーショナルデータベース分野での主なライバルはIBM DB2とMicrosoft SQL Server、SAP HANA、PostgreSQLである。
1988年以来10年間、オラクルはドイツの企業SAP AGとの協力関係にあった。始まりはSAP R/3をオラクルの関係データベース製品と連携させることだった。両者は補完関係にあり、決して競合するものではなかった。SAPは今ではマイクロソフトとも提携し、マイクロソフト製品(Microsoft SQL Server など)との連携を強化しているが、依然としてオラクルとも協力関係にある。オラクルによれば、SAPの顧客の多くがオラクルのデータベースを使っている。
しかし、2000年代後半に入って両社は競合することが多くなり、対立する場面が増えてきた。時には相手企業についてネガティブなコメントを発表することもある。
2004年、オラクルは企業向けアプリケーション市場への関心を増すようになった(1989年、オラクルはOracle Financialsという製品を既にリリースしている)。オラクルはそのための一連の企業買収を開始し、ピープルソフト、Siebel、Hyperionといった企業を手中に収めた。
SAPがリーダーシップを発揮している市場でオラクルが競合しようとしていることが明らかとなり、オラクルが買収した企業の顧客をその機会に奪おうとした。SAPはそれら顧客に特別な値引きを提示した。オラクルも同様の手法でSAPの顧客を奪おうとし、これを同社のミドルウェア製品 "Oracle Fusion for SAP" にひっかけて "OFF SAP" と称した。
2008年現在、オラクルとSAPはサードパーティーによるソフトウェア保守サポート市場でも競合している。2007年3月22日、オラクルは再びSAPを訴えた。訴状によれば、SAPの子会社であるTomorrowNowが、以前のオラクルの顧客のアカウントを使い、古いオラクル製品群についてオラクルのウェブサイトから体系的にパッチや文書を取り出し格安でサポートを提供したという。2007年7月3日、SAPはTomorrowNowの従業員がオラクルのサポート用ウェブサイトから「不適切なダウンロード」を行ったことを認めた。しかし、SAP本体の従業員や顧客がTomorrowNowを経由してオラクルの知的資産にアクセスしたことは否定した。SAPのCEO Henning Kagermann は「1回でも不適切なダウンロードが行われたとしたら、私から見れば受け入れられない。このようなことが起きたことを遺憾に思う」と述べた。さらにSAPはTomorrowNowの過失に対してしかるべき対処をすると発表した。
オラクルはマーケティング素材として "Oracle ClearView" というビデオシリーズを製作・配布している。
2000年、オラクルはマイクロソフトの反トラスト法違反の裁判に関連して、ゴミから情報を掘り出すために私立探偵を雇い、コンピュータ業界と報道機関の注目を集めた。オラクル会長ラリー・エリソンは、反トラスト法裁判においてマイクロソフトを支援したグループを調査するためであり、一種の「公共サービス」だとして、同社が東海岸の探偵事務所を雇ったことを擁護した。この調査で、Association for Competitive Technology の管理人に1200ドルを支払って、マイクロソフトのゴミから情報を探したという。他人がオラクルのビジネス活動を調査したとしたらどう感じるかを訊かれ、エリソンは「我々はレドモンドにゴミを出しており、誰でもそこを通り抜けることができる。我々は完全公開を信じている」と述べている。
オラクルは宣伝文句として "Can't break it, can't break in"(壊せない、侵入できない)あるいは "Unbreakable" という言葉を使っている。これは、情報の安全性へのますます高まる需要を意味している。オラクル社はまた、ネットワーク型データベースの信頼性とデータベースへのネットワークアクセスを主要なセールスポイントとして強調している。
しかし、2002年にこれらスローガンを使い始めて2週間後、David Litchfield、Alexander Kornbrust、Cesar Cerrudo らはオラクル製品に対する攻撃が成功したことを明らかにした。このため、オラクルのスローガンは非現実的でありクラッカーをひき付けるだけだと批判されたが、オラクルのセキュリティ担当重役の Mary Ann Davidson は、その批判が不公平だと述べた。このスローガンはオラクル製品の難攻不落さを表しているのではなく、オラクルのデータベースサーバが14種類のセキュリティ評価に合格したことを示したキャンペーンだと彼女は主張した。
2004年、当時のアメリカ合衆国司法長官ジョン・アシュクロフトは契約成立を阻止するため、オラクル社を訴えた。2005年、オラクルはアシュクロフトが最近設立した政治団体 The Ashcroft Group, LLC. と契約を結んだ。その後、オラクルとアシュクロフトの政治団体は諜報機関関係で数十億ドルの契約を獲得している。
オラクルの本社はサンフランシスコ半島のレッドウッドシティの Redwood Shores 地区にある。サンカルロス空港(IATA空港コード: SQL)に近い。
現在のオラクル本社の敷地にはかつて Marine World Africa USA があったが、1986年にヴァレーホに移転した。オラクルは当初2つの建物を借り、以前の本社があったベルモント(レッドウッドシティの隣)から財務部門と経営部門だけを移転させた。その後敷地全体を買い取り、さらに4つのビルを建設した。
これら本社のビルは、ロビン・ウィリアムズ主演の映画『アンドリューNDR114』(1999年)で、架空の会社“NorthAm Robotics”(ノース・アム・ロボティックス社、北米ロボティクス社)のビルとして登場している。
オラクルの初期の従業員ブルース・スコットは、1984年に Umang Gupta と共に Gupta Technologies(後の Centura Software)を創業し、後に PointBase, Inc. の創業者兼CEOとなった。スコットは Oracle V1, V2, V3 の設計に携わっていた。Oracle のサンプルスキーマ "SCOTT"(EMP
とDEPT
という表を含む)とそのパスワード "TIGER"(彼の飼っていた猫の名前)は彼の命名である。
1997年、ラリー・エリソンはスティーブ・ジョブズがAppleに戻った後、同社の取締役に就任した。エリソンは、取締役会に出席する時間がとれないことを理由に、2002年にAppleの取締役を辞任した。
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