![佐須の禅寺丸古木 佐須の禅寺丸古木](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
佐須の禅寺丸古木(さずのぜんじまるこぼく)は、東京都調布市佐須町に生育するカキノキの巨木である。この木は「禅寺丸」(ぜんじまる)という甘柿の品種で、推定の樹齢は約380年とされる。この品種における巨大な木の一例として、1964年(昭和39年)に東京都の天然記念物に指定された。
この木が生育する調布市佐須町は、かつて農村地帯であった。多摩川の支流野川沿いに田畑が広がり、農家の庭先にはカキノキがよく見られていた。カキノキは甘柿を食用にする他にも、渋柿を干し柿に加工したり染料や防水用に利用したり、材を建築用などに使うなど利用範囲の広い植物である。
品種は「禅寺丸」という甘柿の1種に属する。禅寺丸は、神奈川県川崎市麻生区王禅寺が原産地とされるもので、同区王禅寺940所在の真言宗寺院・王禅寺の木を原木とし、日本最古の甘柿といわれる。王禅寺の原木は、2007年(平成19年)7月26日に国の登録記念物に登録されている。
伝承によれば、その起源は鎌倉時代にまでさかのぼる。1214年(建保2年)、等海という僧侶が王禅寺の本堂再建の材木を探して山中に入り、これを発見した。等海はその実が大変に美味であったために、木を持ち帰って寺の境内に移植したという。
禅寺丸という品種は「不完全甘柿」(種が十分に入ると甘くなる)といわれるもので、果実は小さく4センチメートル程度に育ち重さは100-120グラムほどである。江戸時代から多摩川両岸や武蔵野地域の農村地帯に栽培が広がり、明治・大正の頃まで主要品種として盛んに栽培された。やがて主要品種の座を降り、富有柿の受粉樹として利用されるようになった。
多摩や武蔵野の旧家には、庭先に禅寺丸の古木が残っているのが時折見受けられる。佐須町にあるこの木は推定の樹齢約380年とされ、カキノキの古木としては大きいものの1つである。樹高は約12.0メートル、主幹は幹周り約1.9メートルを測る。樹勢は盛んで毎年多くの実をつけているが、2007年(平成19年)に台風の被害に遭って大枝が折損した。そのため所有者は、支柱を立ててこの木を保護している。この木は1964年(昭和39年)4月28日に、東京都の天然記念物に指定された。
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