日韓議員連盟(にっかんぎいんれんめい)は、自由民主党が主導する日本の超党派の議員連盟。
概要
前身は冷戦まっただ中1972年にアメリカの意向で発足した日韓議員懇親会で、1975年に現在の名称に改称された。冷戦時代は韓国の議員との交流などを積極的に行い、友好関係促進により西側諸国として団結して東側諸国に対抗することを目的にされた。
日本社会党がアメリカを敵対視し、ソ連などの東側諸国である北朝鮮を支持し交流していたのに対抗して自由民主党や民社党など自由民主主義を標榜としていた議員が多数在籍してきた。その名残で元内閣総理大臣の安倍晋三をはじめ大半を自由民主党の議員で構成する。
軍事政権時代は韓国に批判的だった左派も2002年の北朝鮮による日本人拉致問題発覚後に旧社会党議員だった民主党議員や公明党、日本共産党なども参加してきたため連盟も変わってきた。民主党議員のみの民主党日韓議員交流委員会と日韓議員連盟の両方に所属している民主党議員が多い。
冷戦中で韓国が軍事政権だった時では、政権同士の関係の緊張も指導者の意を受けた側近や補佐役が交渉チャンネルとして役割を果たしてきた。しかし、1990年代以降の韓国の民主化後や冷戦崩壊後に日韓間でいわゆる歴史認識問題や領有権問題が懸案となり、水面下の交渉チャンネルは機能しなくなった。過去の日韓関係では一定の役割を果たしてきた日韓協力委員会や日韓議員連盟といった両国指導層のネットワークも、今では日韓間を調整する能力を持っていない。
他に日韓関係の議員連盟としては朝鮮通信使交流議員の会、日韓海底トンネル推進議員連盟等が存在する。また2023年(令和5年)2月23日には立憲民主党が独自の議員外交を行うため、自民党主導の超党派の日韓議員連盟と別に立憲民主党の議員連盟「日韓友好議員連盟」を創設した。
活動
- 2011年11月30日、李相得会長を初めとする韓国の韓日議員連盟とともに、渡部恒三会長らが当時の菅直人内閣総理大臣を表敬した。
- 2013年11月29日、日本・東京で合同総会。韓国側から日本における外国人参政権を実現するように要請し、日本側は「法案の実現に向けて努力する」と声明を発表した。また、靖国神社参拝について、河村建夫日韓議員連盟幹事長から「国のために献身した同胞の英霊に尊崇の念を表すことはどこの国でもしている」と説明を行い、黄祐呂会長から「『過去の反省』上に立つ未来志向的な関係をどう構築していくべきかについて、両国国会議員が深く悩んでみる必要がある」と応じた。総会の雰囲気について、姜昌一幹事長は「日本国内の雰囲気が非常によくないのに驚いた」と感想を述べている。
- 2014年10月25日、韓国・ソウルで合同総会。「日本側は河野談話、村山談話など歴代政権の立場を継承することを再確認した」「日本側は河野談話、村山談話の精神にふさわしい行動をとることにした」などの声明を発表した。なお、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が朴槿恵大統領の名誉を傷つけたとして起訴され、拘束されている問題(産経新聞ソウル支局長名誉毀損起訴事件)については、韓国側の反対によって日韓の懸念事項として扱わないことで、日韓で合意された。
- 2015年5月11日、韓国・ソウルで合同幹事会。軍艦島などの「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録に韓国政府が反対していることについて、政治問題化しないよう韓国側に理解を求め、22日に継続して協議することを確認した。しかしながら、韓国側は翌日の国会本会議で、日本政府が「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産への登録を推進していることを糾弾する決議を可決、採択した。
- 2017年12月11日、日本で行われた合同幹事会で慰安婦問題日韓合意などについて議論。共同宣言では韓国側の「合意は慰安婦や国民の気持ちを反映していない」という主張に配慮し、慰安婦問題日韓合意の韓国側の履行が行われていない問題の記載を行わず、その代わりに、日本側が村山談話や河野談話の立場を継承していくことを再確認したという内容で取りまとめられた。また、韓国人の特別永住者に対する日本への地方参政権付与についても日本が迅速な法整備に向けて努力することも全会一致で採用された。
- 2018年12月、日韓議員連盟の額賀福志郎会長と河村建夫幹事長が訪韓し、韓日議員連盟の姜昌一会長、李洛淵首相と面談。徴用工訴訟問題について、韓国の裁判所で被害事実が認められた徴用被害者に対する日本企業の賠償を前提に、韓国政府が財団を設立してその他の徴用被害者を慰労するという解決策を練った。
- 2019年8月23日、日韓議員連盟と韓日議員連盟は、韓国政府が前日に日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)を破棄することを表明したことを受けて、東京で同年9月18日に開催する予定だった両議連の合同総会を延期することを決めた。
- 2021年1月12日、首都圏で新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令される中、東京・帝国ホテルで開催され、200人余りが参加した在日本大韓民国民団(民団)主催の新年会に、公明党の山口那津男代表、日韓議員連盟の額賀福志郎会長ら与野党の議員19人が出席した。(駐日大韓民国大使や訪日予定だった韓国の国会議員は首都圏の緊急事態宣言に伴い出席を見送った)
主な所属議員(一部)
役員
- 菅義偉(自由民主党)会長
- 額賀福志郎(自由民主党)幹事長
- 武田良太(自由民主党)幹事長
- 逢沢一郎(自由民主党)副会長
- 麻生太郎(自由民主党)副会長
- 井上義久(公明党)副会長
- 志位和夫(日本共産党)副会長 → 顧問
- 鈴木宗男(無所属)副会長
- 衛藤征士郎(自由民主党)会長代理
- 中川正春(立憲民主党)運営委員長
- 伊藤信太郎(自由民主党)事務局長
- 西村明宏(自由民主党)事務局長
- 石井啓一(公明党)法的地位向上委員長
- 笠井亮(日本共産党)法的地位副委員長
- 野田聖子(自由民主党)女性部会会長
- 赤羽一嘉(公明党)常任幹事
- 小渕優子(自由民主党)常任幹事
- 穀田恵二(日本共産党)常任幹事
- 中谷元(自由民主党)常任幹事
- 笠井亮(日本共産党)幹事
- 西村康稔(自由民主党)幹事
所属議員
- 石井正弘(自由民主党)
- 大野泰正(無所属)
- 奥野信亮(自由民主党)
- 小林茂樹(自由民主党)
- 武井俊輔(自由民主党)
- 長島昭久(自由民主党)
- 宮内秀樹(自由民主党)
- 國重徹(公明党)
- 逢坂誠二(立憲民主党)
- 小川淳也(立憲民主党)
- 岡田克也(立憲民主党)
- 城井崇(立憲民主党)
- 辻元清美(立憲民主党)
- 中谷一馬(立憲民主党)
- 福島みずほ(社会民主党)
- 赤嶺政賢(日本共産党)
- 井上哲士(日本共産党)
- 倉林明子(日本共産党)
- 塩川鉄也(日本共産党)
過去に所属していた議員
過去に所属していた元議員
(1990年に政界引退)
(2000年に政界引退)
(2012年に政界引退)
(2012年に政界引退)
(2017年に政界引退)
(2022年に議員辞職)
運営委員長→幹事長
(2021年に政界引退)
(2019年に政界引退)
事務局長→運営委員長
(2016年に政界引退)
(2022年に落選失職)
(2016年に政界引退)
(2017年に落選失職)
(2017年に落選失職)
(2021年に落選失職)
(2021年に議員辞職)
(2014年に滋賀県知事へ転任)
(2019年に群馬県知事へ転任)
(2023年に死去)
(2024年に議員辞職)
脚註
関連項目
- 日韓トンネル
- 日朝友好議員連盟
- 日中友好議員連盟
- 朝鮮通信使交流議員の会
- 民主党日韓議員交流委員会
外部リンク
. Source: