![宇宙刑事シャリバン 宇宙刑事シャリバン](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
『宇宙刑事シャリバン』(うちゅうけいじシャリバン)は、1983年3月4日から1984年2月24日まで、テレビ朝日系列で毎週金曜19時30分 - 20時(JST)に全51話が放送された、東映制作の特撮テレビドラマ、および作中に登場するヒーローの名称。
本作品は『宇宙刑事ギャバン』に次ぐ「宇宙刑事シリーズ」三部作の第2弾であり、現在では「メタルヒーローシリーズ」の第2弾とされる。前作『宇宙刑事ギャバン』や次作『宇宙刑事シャイダー』と異なり、シャリバンの名前は実在人物をモチーフとしておらず、ギャバンから継承した「バン」に太陽の「シャイン」を掛け合わせて命名された。
前作『ギャバン』の人気が好調で、制作側が番組中盤ごろに次回作も宇宙刑事で行くと判断された。そのため、番組の開始に先駆け、前作『ギャバン』の第42話に本作品の主人公となる伊賀電がゲストキャラクターとして登場し、最終話でシャリバンとして初登場するなどシャリバンの誕生の経緯が描かれた。そして番組が始まってからは前作の主人公ギャバンが上司として準レギュラー出演するという形やホシノスペースカノンを応用して開発したプラズマカノンなど、『ギャバン』の世界観を継承した続編ということを強調した作劇が行われた。第1クールでは、電のバックボーンを描かずストレートな善悪の戦いが描かれたが、番組の中盤から後半にかけて、主人公の出生の秘密と使命にまつわるサイドストーリー(シナリオタイトル『奇星伝』)が物語の縦糸となって前作以上にハードかつシリアス、ドラマチックな内容になっており、ストーリーもスーパー戦隊シリーズの方法論とは違い、連続性が重んじられるものとなった。終盤の展開は当初からのボスである魔王サイコが敗れ、中盤からの新幹部であるレイダーがギャバン、シャリバンとの最終決戦に臨むというクライマックスが構想されており、かつシャリバンに敗れたレイダーの呪いは奇病という形で、次作における主人公の妹をも苦しめるという、意外な伏線も設定されていた。しかし次作『シャイダー』が明るめの路線へと変更されたため当初の構想は土壇場で却下された。
映像面では、前作と打って変わって全編に亘って怪奇イメージやホラー描写が数多く見受けられるようになった。他方、企画段階では前作よりも明るい作風が志向されており、コメディリリーフ的な存在として偵察ロボット「Gパン(ジパン)」の登場が予定されていた。
商業展開上では、主題歌レコードは40万枚を売り上げるヒットとなった。また、宇宙刑事シリーズ初の人型巨大ロボット「グランドバース」を登場させた。村上克司によると、スーパー戦隊シリーズやアニメと差別化するため作業機械的なデザインになっており、高低どちらの年齢層からも支持されたという。グランドバースは本作品のメインアイテムと位置づけられ、年末商戦では同じバンダイのスーパー戦隊シリーズ『科学戦隊ダイナマン』のダイナロボより売れると予想されていた。しかし「弁当(駅弁)売り」と揶揄される巨大ロボ形態が災いしたのか、売れ行きは予想を下回り、年末商戦ではダイナロボの方が売れ、シャリバン全体の玩具も期待外れの結果に終わった。コンバットスーツの着脱を再現した可動フィギュア「プラデラ 宇宙刑事シャリバン」は、いわゆるクロスアップタイプ(アーマー装着型)のフィギュアのルーツである。次作『シャイダー』でも同様の「プラデラ 宇宙刑事シャイダー」が発売され、以降メタルヒーローからはクロス系のフィギュアが数多く発売されている。村上克司によると前作『宇宙刑事ギャバン』は当時のポピーの購買層より3-4歳上を狙ったが、結果としては従来の低年齢層の支持の方が強かった。無彩色のギャバンから一転してシャリバンが派手な色使いになったのは、低年齢層にアピールするためである。ただし赤色に決定するまでは試行錯誤が続き、青も検討されたことがあった。また、企画当初は銀のギャバンに対して金色になる予定であった。
森林パトロール隊員・伊賀電は、剣山で宇宙犯罪組織マクーが送り込んだモンスターのバファローダブラーに襲われ、勇敢に立ち向かうものの重傷を負ってしまう。父親の捜索のため同じく剣山を訪れていた宇宙刑事ギャバン / 一条寺烈によって助けられた彼は、進んだ医学を持つバード星で傷の治療を受け、幸いにも回復。そして銀河連邦警察のコム長官に、マクーのモンスターにも臆せず立ち向かった勇気を買われ、宇宙刑事にスカウトされる。
「シャリバン」のコードネームを与えられた彼は、マクーとの最終決戦の際にギャバンを助けるため、コム長官に連れられ地球へと帰還。マクーとの戦いを終えたギャバンは太陽系全体を担当する銀河パトロール隊隊長へと昇格し、代わってシャリバンが地球地区担当の宇宙刑事に任命される。
本作品は、その後宇宙刑事としての訓練を受けるために銀河連邦警察本部を訪れていたシャリバン / 伊賀電が、地球に現れた新たなる宇宙犯罪組織マドーの暗躍に関する情報を得て、リリィとともに再び地球に帰還し、地球を守るために戦うことになるところから始まる。前回のマクーが魔空空間を作るように、今回のマドーは幻夢界という一種のホワイトホールを作り出す。この空間の中で、彼らが繰り出す魔怪獣は4倍の力を発揮するが、シャリバンもまた、ギャバン同様に敢えて幻夢界に飛び込み、強化した魔怪獣を撃破しマドーの野望を打ち砕いていく。
その戦いの中、シャリバン / 伊賀電は祖先が暮らしていた「イガ星」や「イガクリスタル」の存在を知り、自らの出生の秘密と、自らに託されていた使命をも知ることとなる。
2,000年前、超エネルギー結晶体のイガクリスタルを狙うマドーの核兵器によって滅ぼされた銀河系第17星雲の惑星・イガ星の民。イガ星が壊滅した後、生き残ったイガ星人たちは新たな居住地を求めて銀河各地の様々な惑星へ分散した。このうち地球にたどり着いた民の末裔は奥伊賀島で生活しており、伊賀電はその血を引く一人である。
作品の後期にはイガ戦士団を結成し、電とともにイガ星の再興を目指す。
マドーの壊滅を目的に活動する自由主義者の集団で、勇士を求めて惑星を旅している。初登場以降もリタがシャリバンにテープでメッセージを送り、最終決戦ではリタとキースが再登場し、サイコラーに苦戦するシャリバン、リリィと共に戦った。
伊賀電が「赤射」(赤射蒸着)指令を発することによって、電送されてくるソーラーメタル製のスーツ。真紅のソーラーメタルと銀色のメタル、黒いブラックシールドコーティングで構成されている。胸のディメンションコントローラーにより、異次元や宇宙空間での活動を可能とする。
地球の衛星軌道上で待機している超次元戦闘母艦グランドバースが灼熱の太陽エネルギーを増幅し、赤いソーラーメタルへと転換される。ソーラーメタルの金属粒子は電の体に吹き付けられるようにスーツを構成していき、赤射蒸着が完了する。この一連のプロセスはギャバンよりさらに短くなってわずか1ミリ秒(0.001秒、ギャバンの50倍の速さ)で完了する。また、電は赤射蒸着の際、服を脱いでアンダースーツ姿になってからコードを発することが多い。このシステムを見抜いたマドーは伊賀電を罠にはめ、グランドバースがいない過去へ強制タイムトラベルさせて赤射を封じたことがあるが、一条寺烈が赤射を封じる装置を破壊してピンチを脱した。
赤射蒸着プロセスの赤い球体の状態で飛び回り、市民をファイトローの手から助け出したり、魔怪獣の襲撃によって崖から落ちそうになっているバスをそのパワーで押しとどめたりといった、コンバットスーツの威力を印象付ける演出も作中の随所に見られた。
宇宙犯罪組織マクー壊滅後に地球に現れた巨大な宇宙犯罪組織。幻夢界と呼ばれる異次元空間に浮かぶ幻夢城を拠点に、全銀河の征服を企む。2,000年前には、超エネルギー結晶体のイガクリスタル(後述)を狙って、シャリバンの先祖の故郷であるイガ星を核兵器で滅ぼしており、その意味でシャリバンにとっては文字通りの宿敵と言える存在。物語後半ではイガクリスタルを手中に収め、そのエネルギーを利用して野望を達成せんと目論んだ。地球はマクーに続いて征服目標にされているが、一般の地球人は宇宙学者ですら「宇宙人はいるとしても数万光年離れている」旨を語り、侵略されていることも、銀河連邦警察に守られていることも認識されていない。
主演には前作の大葉健二と同じくJAC所属の渡洋史が起用され、前作以上に危険なアクションを見せている。
シャリバンのアクションスーツを担当した村上潤は、翌年の『星雲仮面マシンマン』のスーツアクターも務めることになり、本作品終盤は両番組を掛け持ちしていた。終盤のシャリバンを担当した柴原孝典は、個性では村上には敵わないため、アクロバティックな要素でアピールしたと述べている。
魔怪獣のスーツアクターを務めた竹田道弘は、以前『メガロマン』で村上と共演していたことから、村上からの指名で起用された。村上は、レーザーブレードの立ち回りは息のあった者同士でないとうまくいかず、竹田とはうまくやれたことを証言している。一方、竹田は撮影時間が長く地獄であったと述べており、撮影を止めるために蛍光灯のレーザーブレードをわざと割ったこともあったと述べている。
本作品より主題歌音源の録音がレコード用フルサイズのみとなり、テレビ用の音源はフルサイズ音源を再編集して作られるようになった。オープニングテーマ「宇宙刑事シャリバン」は、放送用モノラルMIXとなったイントロのギターの音色が芳しくなく、東映の要請で再ミックスが行われたが納得されず、再々ミックスで最終的にギターを無くすことで決着がついた。前者は第8話まで、後者のギター無しバージョンは第9話から最終話まで使用された他、ギターの音を含むバージョンは第9話以降も劇中で度々使用された。
エンディングテーマの「強さは愛だ」は、レコード用フルサイズではストリングスの駆け上がりが欠けていたため、オープニングテレビサイズの再トラックダウンの際同時に再作業が行われ、音楽集のLPレコード以降、レコード類には修正版が収録されるようになった。シングルバージョンは2006年発売のCD『宇宙刑事シャリバン オリジナルサウンドトラック』のボーナストラックに収録されている。なお、テレビでは選曲を担当した村田好次が「変化を付けようと思って」13話以降はエピソードによって2番の歌詞を使用している。
本放送中に発売されたサウンドトラックLP『宇宙刑事シャリバン 音楽集』(コロムビアレコード)は、前作のサウンドトラックとは異なりステレオ音源で収録されており、以降の作品でもこれが踏襲された。また『音楽集』以外にも、当時コロムビアからリリースされていたアニメ・特撮作品の劇伴をシンセサイザーでアレンジしたアルバム「デジタルトリップ」シリーズに本作品もラインナップされており、越部信義や小久保隆の編曲・演奏によるこれらの楽曲は番組後半でも劇伴として使用された。その他、本作品と同様に村田好次が選曲を担当していた『百獣王ゴライオン』(音楽:武市昌久)のブリッジ音楽も、ショッキングな場面転換に流用されている。
その後2004年に「ANIMEX1200」シリーズで『音楽集』が再発売された他、2006年10月には『音楽集』では未収録となった楽曲や、前出の『デジタルトリップ 宇宙刑事シャリバン』の楽曲をほぼ網羅した『宇宙刑事シャリバン オリジナルサウンドトラック』が発売された。こちらはモノラル音源での収録となっているが、これは後に発見された劇伴の作業用のテープを収録したもので、いわばモノラル音源のロングヴァージョンでもある。
ミミー役でゲスト出演する叶和貴子の名前を新聞のラテ欄に掲載する都合上、第48話以降のサブタイトルはそれまでと比べ短めのものとなっている。
発売元はいずれも東映ビデオ。
渡辺みちおが徳間書店の『テレビランド』誌上にて連載していた漫画版では、魔王サイコが敗れレイダーがシャリバンとの対決を決意して次号の最終エピソードに続くという、当初の構想に沿った展開が描かれていた。
『サイバーコミックス』において、麻宮騎亜による漫画版が掲載された。銀河連邦警察はマドーに敗北し、電はシャリバンであった記憶を喪失、対マドーのレジスタンス運動に参加しているという衝撃的な冒頭で始まる。
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