![バンクーバー・スカイトレイン バンクーバー・スカイトレイン](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/77/SkyTrain_Mark_III_arriving_at_Stadium_Chinatown_Station.jpg/400px-SkyTrain_Mark_III_arriving_at_Stadium_Chinatown_Station.jpg)
バンクーバー・スカイトレイン(英: SkyTrain)は、カナダのバンクーバーの中心街と、バーナビー、ニューウェストミンスター、サレー、リッチモンドなどのバンクーバー周辺都市やバンクーバー国際空港とを結ぶ鉄道系の公共輸送機関。メトロバンクーバーの交通行政を管轄するトランスリンクが運営しており、運行業務はブリティッシュコロンビア高速度交通会社(英: British Columbia Rapid Transit Company)および ProTrans BC に委託されている。
スカイトレインは、カナダの鉄道車両製造技術とコンピューター制御技術を世界に誇示するために、1986年のバンクーバー国際交通博覧会(Expo 86)に関連して、中規模都市のためのマス・トランジット・システム(大量輸送機関)のモデルとして計画・完成された。開通当時のルートは、バンクーバー市のウォーターフロント駅とニューウェストミンスター市のニューウェストミンスター駅間のみであった。なお、この交通博を記念して、基幹となっている部分の線をエキスポラインと呼んでいる。
編成は2両、4両、6両となっている。列車はコンピュータ制御で自動運転され、2016年にはドバイメトロを凌ぐ世界で1番目に長い距離を走る無人(コンピュータ制御)鉄道となった。一般的な鉄道で使われている固定式の閉塞を用いないため列車同士が非常に近づくことができ、2分から6分という短い間隔で列車がやってくる。
車両は鉄車輪と鉄レールで支持・案内されるが、エキスポライン、ミレニアムラインでは駆動は車上のリニアモーターで行う鉄輪式リニアモーターカー方式が採用されている。カナダラインでは一般的な電車と同じ駆動方式が採用されている。インフラ関係の建設は、SNC-ラバリン社が行っている。
バンクーバー・スカイトレインには全部で3路線(エキスポライン、ミレニアムライン、カナダライン)がある。エキスポラインはバンクーバー中心部(ダウンタウン)で地下を走り、その他の地域では高架になっている。カナダラインはバンクーバー市内では住宅地を通るため殆どが地下区間であるが、空港やリッチモンド市内では高架区間となっている。
エキスポライン、ミレニアムラインは同じ車両とシステムを採用しており相互乗り入れが可能であるが、カナダラインは車両が異なる。
1986年開催のバンクーバー国際交通博覧会に合わせて1985年に最初に完成した最初の路線。バンクーバーの中心にあるウォーターフロント駅とメトロバンクーバー最大の衛星都市であるサレーのキングジョージ駅までを結ぶ。
2002年に開通したスカイトレイン2番目の路線で、VCC・クラーク駅からラファージレイク・ダグラス駅を結ぶ。
バンクーバーオリンピック開催に合わせ、バンクーバー国際空港を結ぶ空港連絡鉄道として2009年に開通した路線で、他のスカイトレインの路線とは異なりリニアモーター式ではない。
電車内、駅構内はすべてバリアフリーで、全駅にエレベータが設置されている。ホームは線路が直線の区間に配置されている。その為、電車とホームの間は2cmから5cmと狭く、車椅子でも手助けなしで乗降できる。列車の運行は全てコンピュータ制御なので、発車時間になると車内で発車サイン音が鳴りドアが自動的に閉まる。人や物が挟まれたり、無理に乗り込もうとすると自動でドアを少し開けて再開閉する。
駅に駅員がいないことから治安が悪い交通機関とされたため、全駅に防犯カメラを設置しスカイトレイン警察隊が結成された。この警察隊は普通の警察官と同じく法律による拘束力があり、犯人の逮捕もできる。当初この警察隊は拳銃を所持しなかったが、最終的には所持することになった。車内には「サイレントアラーム」という身に危険が迫った時に犯人に気付かれずに通報できるシステムがある。これは窓枠の黄色いストラップ状のボタンを押すことで作動し、数分で警察隊が現場に急行する。
電車内では喫煙とスピーカーでのオーディオ類の使用が禁止になっているが、携帯電話の使用は制限されていない。ペットを乗せる場合は小さいケージに入れる必要がある。
エキスポライン、ミレニアムラインの車両はリニアモーター駆動、無人運転(コンピュータ制御)で最高時速90km。カナダラインの車両は通常モーター駆動、無人運転で最高速度は80km/h。ピーク時を除いて、1車両につき2台まで自転車を乗せることができる。Mark I 及びMark II の一部車両には方向幕が設置されていないが、停車中に車内の自動放送が路線名と行き先を案内する。ホーム上の発車標は、電車が来ない時は現時刻と案内スクロールの交互表示となっていたが、4段表示の発車標に順次更新されている。また、治安上の理由から駅には化粧室が設置されていない。
切符はすべて非接触型で、駅のコンコースにある券売機で購入して乗車する。もともとスカイトレインの駅には改札がなく信頼乗車であったが、自動改札の導入が進み、2016年には全ての駅で改札が導入された。時々職員による検札が行われることがあり、特に休日は職員と警察によって行われやすい。無賃乗車が発覚した場合には$175ほどの罰金が課せられる。
一度運賃を払えばトランスリンクの乗り物であるスカイトレイン、バス、シーバスは90分間同一ゾーン内の乗り降りが自由となる。
スカイトレインの自動券売機では、全ての硬貨と$5・$10・$20紙幣が使える。また、デビットカードとクレジットカードも使える。6ヶ国語に対応しており日本語表示もあるが、機械による自動翻訳のため不自然な表示になる場合もある。
カナダラインでバンクーバー国際空港の敷地内の3駅から市内までの区間を利用する場合は、通常運賃に加えて$5の追加運賃がかかる。また、カナダラインのバンクーバー国際空港の敷地内の3駅(テンプルトン駅、シーアイランドセンター駅、YVRエアポート駅)の区間内のみでの利用は無料であり、券売機にて無料の乗車券が入手できる。
運賃はゾーン内での利用か別のゾーンへの利用かによって料金が変わり、3つのゾーンに分かれている。同一ゾーン内利用が$2.95、2ゾーンをまたいでの利用が$4.20、3ゾーンをまたいでの利用が$5.70となっており、平日の午後6時半以降と土日祝日は全ゾーン一律で$2.95と安くなる。
割引運賃は5歳から18歳の子供と65歳以上のシニアに適用される。 運賃は同一ゾーン内利用が$1.90、2ゾーンが$2.90、3ゾーンが$3.90となっており、子どもまたはシニア用の定期券を所持している場合や平日の午後6時半以降と土日祝日は全ゾーン一律で$1.85と安くなる。現在はICカード乗車券であるCOMPASSを利用すると乗車料金の割引が適用される。度々料金の改正が行われており、2021年7月1日に前年度より4.6%の料金値上げが行われ、現金価格の場合は1ゾーン料金が$3.05、2ゾーンが$4.35、3ゾーンが$5.90になっている。ICカード乗車券利用時は、1ゾーンが$2.45、2ゾーンが$3.55、3ゾーンが$4.60になる。
大人運賃、割引運賃のいずれも支払い時に受け取る切符(トランスファー・チケット)を所持する事で同一ゾーン内の乗り降りが自由となる。
同路線はボンバルディア社のARTシステム(英語: Bombardier Advanced Rapid Transit) を使用しており、リニアモーター式で運行される。営業最高速度は時速90kmであり、表定速度は時速45kmである。
片側2ドアの12.7m車両である。エキスポライン開業時である1984年からキング・ジョージ駅開業の1994年までに、計150両が製造された。2両固定編成であり、最大6両編成で運行される。
ミレニアムライン開業時の2002年から製造された。計108両が製造された。2両固定編成であり、最大4両編成で運行される。
2020年7月現在、計84両が導入されている。4両固定編成であり、最大4両編成で運行される。
カナダラインの車両は現代ロテム社製の車両を使用している。
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