黒茶(こくちゃ、くろちゃ)は、中国茶のうち、麹菌等により数か月以上発酵させる後発酵製法により作られる茶をいう。プーアル茶など。
黒茶は一般的には後発酵茶(微生物をつけて発酵させた茶)として説明される事が多い。
一方、茶類の分類を定めたISO 20715:2023では黒茶を製法の観点から以下のように定義している:
黒茶の茶葉色は褐色から黒色で、水色は紅茶や烏龍茶に似た濃いオレンジや濃い赤色が多い。中には緑茶に近い水色の方包茶や、抽出するとコロナ状のリングが現れる花巻茶などもある。黒茶の香りは「陳香(ツンシャン)」(熟成した香り)と呼ばれ、その独特な香気は堆積工程で作り出される。茯磚茶の製造には圧製後に「菌花香」と呼ばれる香気を発するカビを加える「発花」と呼ばれる工程がある。
黒茶の味の特徴として、発酵の過程で生じる微生物の代謝によって苦味成分のポリフェノール、旨味成分のアミノ酸が減少し、可溶性糖類が増加することから、他の茶に比べて渋みの少ないまろやかな味となっている。
一般に茶は、若芽が多く新鮮なほど評価が高く、時間の経過とともにその価値が落ちると考えられるが、発酵茶である黒茶は他の茶と異なり成熟したチャノキの葉を使い、枝ごと切り取って製造するものもある。また、熟成が進むとともに苦味や渋味が消え風味が豊かになることから、製造から時間が経ったものほど価値が高い。
一般に茶(中国茶)は製法の違いにより青茶・緑茶・白茶・黄茶・黒茶・紅茶の6種類に分類される。この内、微生物による発酵を行うものは黒茶のみである(烏龍茶、紅茶は「酵素による酸化」のみ)。 黒茶の形状は大きく分けて、一部のプーアル茶や老青茶などに見られる茶葉そのままの形状である散茶と、茶葉を発酵させる前に圧縮して固めてある緊圧茶の2種類があり、多くの製品は緊圧茶として作られている。
黒茶は、次の製造工程を踏まえ生産される。
黒茶の種類や形状によって初揉後の手順が入れ替わる。散茶の場合、例えば六堡茶や湖南黒毛茶などの場合3→4→5だが、倣庄茶や老青茶などは5→4→3→5、プーアル散茶は5→3→5を行った後に篩い分けの工程が入る。緊圧茶の場合、荒茶となる黒毛茶を等級によってブレンドと選別を行い、蒸して柔らかくした後に加圧整形する。
産地周辺で消費される以外に、雲南省のプーアル茶は香港やマカオで好まれ、以前から出荷されているほか、近年は韓国などの外国でも近年消費が伸びている。湖南省の茯茶は、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、甘粛省などの少数民族のビタミン補給のための生活必需品として消費されているが、近年は日本にも輸入されるようになっている。
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