TWO-MIX (トゥーミックス)は、日本の声優である高山みなみと作詞家の永野椎菜による2人組音楽ユニット。2005年には派生ユニットとして音楽家のジョー・リノイエとともにII MIX⊿DELTA (トゥーミックス デルタ)として活動。前身としてES CONNEXIONがある。
概要
1995年に活動開始。作曲・編曲は高山みなみが担当していたが、高山が音楽活動の第一線から退いた2009年以降は永野椎菜が楽曲の全制作を担当している。現在は活動の場をインディーズに移し、永野のソロプロジェクトを中心に展開中。シンセサイザーによる音色を主体としつつ、「TRUE NAVIGATION」から生楽器も取り入れるようになった。また、シングルはサビ始まりの曲が特に多いのが特徴である。
ユニット名の『TWO-MIX』はレコーディングの最終段階で音源を左右のチャンネルに振り分ける用語に由来しており、永野が名付けた。
キングレコード時代はアーティスト部門に所属。当初はメンバープロフィールが明かされないままのデビューだったこともあり、所謂アニソン歌手としてのイメージに染まらず一般アーティストと同じ扱いだった。テレビアニメ『名探偵コナン』や『新機動戦記ガンダムW』などのオープニングテーマのほか、タイアップ曲もテレビドラマからバラエティ番組まであり、活動範囲は幅広い。
メンバー
活動
ヴァーチャルアーティスト
ヒット曲を数多くリリースしたTWO-MIXであるが、テレビ出演は皆無に等しく、2000年頃に2回顔出しした程度である。理由について永野は「CDを超える音源をテレビで再現することは不可能である」と雑誌のインタビューに答えている。
ライブ活動に対しても消極的な姿勢をとっており、過去にファンクラブのイベントで行われた程度に過ぎない。
CDジャケットやライナーノーツでも、本人達の写真は加工されていたり、判別しにくいサイズで掲載されている。またプロモーションビデオはそのほとんどがCGで作られ、本人達が出演しているものはほとんど存在せず、認知度は極めて低い。そのため、日本テレビ系にて放送された『速報!歌の大辞テン』で初紹介された際は「正体不明のバンド 」として紹介されたというエピソードがある。
「JUST COMMUNICATION」のヒット時にも、声優の高山みなみがボーカルであることはあまり認知されておらず、当時所属していたキングレコードの関係者さえ知らなかったという。また、「JUST COMMUNICATION」のリピート注文枚数が毎回2万5000枚と決められていたため、最終的に50万枚のヒット曲にもかかわらず、オリコンチャートで20位にも入らなかった。
これらはデビュー当時所属していた「イズムアーティスト」の方針によるもので「ヴァーチャルアーティスト 」という触れ込みで売り出し、所属メンバーの名前はアピールされていなかったためである。永野は「隠すつもりもバーチャルにするつもりもなかったんですけど、高山さんの声優としてのスタンスを守るためにTV出演をすべて断ったり、レコード会社も最初、僕らに関心を示さなくて告知しなかったために、一般的にバーチャル扱いになっていた」と語っている。また、当時TWO-MIXを取り上げてくれるメディアは『オリコン・ウィーク The Ichiban』をはじめ、『月刊歌謡曲』と『CDでーた』の三誌しかなく、一般的に知名度が低かったことに加えて電話インタビューでも「本当に自分たちで曲を作ってるんですか? 」と訊かれることがあったという。
「JUST COMMUNICATION」のヒット後、1年間にアルバム2枚、シングル3枚、ミニアルバム1枚というハードな楽曲制作を強いられたにもかかわらず、どんなに作詞や作曲、編曲しても報酬は月5万円だったといい、プロデュース印税や歌唱印税はなぜか貰えなかったという。そのため、当時永野は貯金を切り崩して生活しており「ヒットしてなかったら高山さんはともかく僕は死んでたと思います 」「戦い続けた日々 」と語っている。
クレジット
上述の方針があったため、『BPM 150MAX』までは作詞・作曲のクレジットがTWO-MIXとなっている。6thシングル「WHITE REFLECTION」から2人の名前が作者としてクレジットされるようになった。これは上述の事情に加え、デビューシングルである「JUST COMMUNICATION」が『新機動戦記ガンダムW』の主題歌だったことに対し「(アニソンユニットという)一つの枠に入れられているような気がしたから」と永野はインタビューで答えており、「無理にでもアーティストという部分を押し出そうと思った」という。だが、その後もアルバムのクレジットは、TWO-MIX名義が使われることがあった。
また、初期の一部の楽曲は馬飼野康二が作曲していた。当時のCDなどにはTWO-MIX名義でクレジットされていたが、2011年に発売された『TWO-MIX パーフェクト・ベスト』では表記が改められている。
アルバムシリーズのタイトル
初期のアルバムシリーズのタイトルである『BPM』は1分間の拍子数を表す『Beat Per Minute 』に由来している。BPMシリーズのタイトル名の由来は以下の通り。
しかし、実際には『BPM 143』に収録の「INNOCENT DANCE」が最速(BPM=153 )であり、タイトルの意味としては、収録曲のBPMの平均値として捉える のが一般的である。これらが指し示す通り、TWO-MIXの楽曲には全体的にアップテンポの楽曲が多い。
来歴
1990年代
1995年
キングレコードに所属し、テレビアニメ『新機動戦記ガンダムW』前期オープニングテーマとして使用されたデビューシングル『JUST COMMUNICATION 』で50万枚の売り上げを記録。同年11月にリリースされたセカンドシングル『RHYTHM EMOTION 』では、36.4万枚の売り上げを記録した。
1996年
第10回日本ゴールドディスク大賞 ベスト5ニュー・アーティスト賞を受賞。この時、永野が授賞式に出席して受賞コメントを述べた。
2作目のアルバム『BPM 143 』がオリコンチャートで5位、3枚目のアルバム『BPM 150MAX 』では、GLAYの『BELOVED』に次いで2位を記録した。その他の作品も軒並み10位以内を記録している。
1997年
11月17日・11月24日、TWO-MIXは漫画『名探偵コナン』の作中で、『LIVING DAYLIGHTS 』のデモテープをめぐる「人気アーティスト誘拐事件」の回に登場。事件の手掛かりとなるデモテープの歌詞は永野自らが実際に作詞・提供したもので、実際にラジオ番組で一度だけ放送され、後に歌詞を一部変更して実際にシングルCD化、CD BOX『TWO-MIX COLLECTION BOX 〜Categorhythm〜』ではデモテープ版の歌詞・編曲によるものも収録された。アニメ版「人気アーティスト誘拐事件」では、声優として、高山は主人公の江戸川コナンと高山みなみ本人の二役を、永野も本人役を演じている。18年後の2015年8月22日・29日に「人気アーティスト誘拐事件」がリマスター版で再放送され、前・後編放送終了直後に永野が自身のtwitterで漫画版やアニメ版でのエピソードを語った。
1998年
3年間所属していたキングレコードを離れワーナーミュージック・ジャパンへ移籍。永野曰く「突然の移籍 」と、のちに自身のブログで語っている。シングル「TRUTH〜A Great Detective of Love〜 」とオーケストラアレンジアルバム『Baroque Best 』の2枚が同時発売された直後に、所属事務所であるイズムアーティスト との契約を解除し、個人事務所であるLittle Station を立ち上げた。
1999年
5月12日、高山の従姉妹である高山美瑠をプロデュースし、テレビアニメ『金田一少年の事件簿』のオープニングテーマとして使用された楽曲「JUSTICE〜Future Mystery〜 」でデビューし、高山みなみと高山美瑠のユニットM★TWO-MinaMiru- (エム トゥー ミナミル)などもあり、高山美瑠ファンクラブが作られたものの、本人がアメリカへ留学してしまったため、立ち消えとなる。
2000年代
2000年
TWO-MIXサウンドをよりダンスフロア向けにしたTWO∞MIX ( トゥーミックス・インフィニティ ) プロジェクトを開始。CDシングルを初め、過去の自身の楽曲をリミックスしたCDアルバムや、当時流行していたパラパラをフィーチャーしたビデオをリリースした。
2003年
所属事務所のレーベルからシングル「BEFORE THE IGNITION 」を発売する。その背景には自身の音楽の方向性を理解してもらえなかったというワーナーミュージックに対する不信感があったこと、自分達が作りたい方向性の曲を作らせて貰えない不満があったという話がファンクラブ内の号外で発表された。
2004年
2005年
デビュー10周年を記念してジョー・リノイエとのコラボレーションが企画されたが、これが発展した形で新しいプロジェクト、II MIX⊿DELTA (トゥーミックス デルタ)を2年間の期間限定で活動することとなり、7月27日にファーストアルバム『dELTa ONE 』がリリースされた。
2006年
セカンド・ミニ・アルバム『dELTa TWO -UNIVERSE- 』をリリース。
2007年
II MIX⊿DELTAとしてテレビアニメ『キスダム -ENGAGE planet-』の主題歌「時空を超えて 」と劇伴を担当する。主題歌「時空を超えて」は、TWO-MIXとしては2000年の「NAKED DANCE」以来久々のタイアップ曲となる。オリコンチャート最高位39位を獲得。また、アニメのBGMを担当するのは今回が初めて。さらに9月14日には、後期主題歌として「A Runner at Daybreak 」が発売された。
2008年
TWO-MIXの活動と並行し、永野は4年の準備期間を経てソロ・プロジェクトShiina-Tactix を始動。才能豊かなアーティスト達をフィーチャーして音楽作品を制作し、公式サイトShiina-Tacix-Musicや各音楽配信サイトを通じて発表。世界のユーザーに音楽を配信してきた。 CD化もスタートし、7月に第一弾CDアルバム「BPM151Tactix 」 (Vo.Sana.K)を発表。起用した一人、日笠陽子は2009年に、アニメ『けいおん!』の秋山澪役で大ブレイクした。また、田村睦心もこのプロジェクトに起用された。
2009年
5月18日、8月に期間限定で復活することがShiina-Tactixオフィシャルブログ及びmixiにて発表され、シングル「LIGHTNING EVOLUTION 」が7月28日からダウンロード販売開始。CDも8月20日から8月24日までの期間限定で「LIGHTNING EVOLUTION/I'M YOURS 」と両A面シングルとして、ファンクラブより通信販売された。期間終了直後からはローソンでViBirthが販売代行を行い、ローソンでの取り扱い終了後からは暫くの間、amazon.jpでも販売代行を行っていた。なお、本作の発表をもって、TWO-MIXは正式に活動休止となる。
2010年代
2012年
5月1日、3年ぶりに活動再開することをShiina-Tactixオフィシャルブログで発表された。
2013年
1月25日、配信シングル「T.R.Y〜NEXT〜 」が配信された。正式な配信予定日は26日であったが、永野が配信サイトの手続きでミスをしてしまい、結果的に配信日が前倒しになった。当初は完全復活の予定だったが、これを最後に2020年まで活動はなく、事実上の活動休止状態になっている。
2020年代
2020年
4月29日、結成25周年プロジェクトが始動開始と同時に、ベストアルバム発売の決定が発表され、プロジェクトの公式Twitterも同日に開設された。
10月23日、翌年の1月20日にベスト・アルバム発売の決定が発表され、ベスト・アルバムの特設サイトも同時に公開、TWO-MIXの全楽曲の中から5曲まで投票できる『TWO-MIX楽曲総選挙』も11月12日まで開催された。
11月28日、YouTube内のTWO-MIX25周年プロジェクト 公式チャンネルにて、インターネットラジオ番組『Radio TWO-MIX BPM25 』の配信が開始。ナビゲーター(パーソナリティ)は、かつてデビュー当時からラジオ番組で楽曲を紹介し、高山と永野両者ともに面識のある日髙のり子が担当し、全6回配信された。
12月25日、オールタイムベストアルバム『TWO-MIX 25th Anniversary ALL TIME BEST』の発売延期が発表された。
2021年
2月10日、TWO-MIX自身初となるオールタイムベストアルバム『TWO-MIX 25th Anniversary ALL TIME BEST 』が発売され、週間売上約9,835枚でオリコン初登場6位を記録。オリコンチャートベスト10入りは、1998年に発売されたアルバム『DREAM TACTIX』で初登場6位(1998年10月5日付)以来、22年5ヶ月ぶりとなった。
4月29日、TWO-MIXが発表した、シングル21タイトルとアルバム13タイトルの音楽配信とサブスク配信が解禁された。同時に、『TWO-MIX 25th Anniversary ALL TIME BEST』の初回限定盤Blu-rayのみ収録されていた「WHITE REFLECTION 25th Anniversary edition」も同時に配信限定シングルとしてリリースされた。
2022年
4月29日、初となるトリビュート・アルバム『TWO-MIX Tribute Album "Crysta-Rhythm"』の発売決定が発表された。永野は「制作されると聞いて、TWO-MIXとしてもとても嬉しく思っています」「こんな素晴らしい企画を考えてくれたTWO-MIX愛に溢れたスタッフと、独自の個性とキャリア、音楽スタイルで『今』として新たに表現してくれた魅力的なアーティスト達に心から感謝したいと思います」とコメントしている。
7月27日にTWO-MIX初となるトリビュート・アルバム『TWO-MIX Tribute Album "Crysta-Rhythm"』が発売された。さらに、8月19日に同作品のハイレゾ配信がスタートした。
12月23日にデビュー25周年を記念して制作された2021年発表の「WHITE REFLECTION 25th anniversary edition」を新たにソニーの360立体音響技術を使った立体的な音場に没入できる音楽体験「360 Reality Audio」として配信を開始した。
2023年
4月29日、デビュー28周年を記念して、リリース作品からシングル17タイトル・アルバム9タイトルのダウンロードとサブスクの海外配信がスタートした。
記録・受賞など
受賞歴
第10回日本ゴールドディスク大賞 ベスト5ニュー・アーティスト賞
記録
ディスコグラフィ
シングル
アルバム
オリジナル・アルバム
リミックス・アルバム
ミニ・アルバム
ベスト・アルバム
非公認ベスト・アルバム
セルフカバー・アルバム
コンピレーション・アルバム
トリビュート・アルバム
CD BOX
映像作品
カヴァー楽曲
タイアップ一覧
II MIX⊿DELTA 名義
シングル
アルバム
オリジナル・アルバム
サウンドトラック
タイアップ一覧
楽曲提供
シングル
プロデュース
アルバム
書籍
出演番組
以下、全てラジオ番組
Radio TWO-MIX(NACK5:1996年10月6日 - 1998年9月27日)
UP'S FRIDAY SPECIAL(TBSラジオ:1997年4月度マンスリーパーソナリティー)
KADOKAWA電波マガジン「TWO-MIXのASUKA PLANET」(TOKYO FM系列:1998年4月 - 9月30日)
TWO-MIXのMAG(文化放送:2000年4月 - 9月)
脚注
注釈
出典
外部リンク
所属レーベル
キングレコード
ワーナーミュージック・ジャパン
ShiinaTactix-Music - ウェイバックマシン(2013年4月23日アーカイブ分) - 現所属レーベル
ブログ
Little Station
ShiinaTactix-Musicオフィシャルブログ - Ameba Blog (2008年5月27日 - )
TWO-MIX 25周年記念プロジェクト関連
特設サイト
TWO-MIX25thプロジェクト (@TWO_MIX25th) - X(旧Twitter)
TWO-MIX25周年プロジェクト 公式チャンネル - YouTubeチャンネル
音楽ストリーミングサービス
TWO-MIX - YouTube Music チャンネル
TWO-MIX - Apple Music
TWO∞MIX - Amazon Music
TWO-MIX - LINE MUSIC
TWO-MIX - Spotify . Source: