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政府専用機(せいふせんようき)は、各国の政府が所有・運航を行い、政府要人の輸送や自国民の救難などのために使用される航空機。
その国々の事情により、保有機数や機種、運用形態は様々である。通常は、ボーイング737やエアバスA310などの小型から中型のジェット旅客機の他、エアバスA340やボーイング747などの大型旅客機を利用することもある。短距離ではビジネスジェットやヘリコプターも使われる。
旅客機を利用する場合、世界中のあらゆる主要都市へ直行できるよう十分な航続距離が求められるため、従来はボーイング747などの大型機が主流であったが、近年は大型機の乗り入れられる空港に制約が出ることや、ETOPSの緩和により、双発エンジンの小型機でも十分な航続距離の出る機体(ボーイング777、737BBJやエアバスA319CJなど)が多数登場したことなどにより、政府専用機の双発化や小型化が進んでいる。
運用は空軍やフラッグ・キャリアなどの支援を得て行なっていることが多い。空軍に所属していることも多いが、その場合あからさまに軍用機として運行すると外交関係が良好でない国に乗り入れる際に不都合が生じる場合がある(日本においては、新型コロナウイルス感染症に伴う武漢市からの邦人救出に政府専用機の活用が検討された際、自衛隊機であることを理由に中国側から難色を示され実現しなかった例がある)。このため、機体が民間扱いで登録されていることもある。カラーリングは鮮やかな場合があり、国旗の色をモチーフにしているケース(日本やドイツ、イタリア)や、国営航空会社の塗装に準じているケースなど(サウジアラビアやカタール、ブルネイの一部機材)もある。
カタールやアラブ首長国連邦、イギリスなどの一部の国では国王を含む王族専用機、アメリカ合衆国(米国)やロシア連邦、朝鮮民主主義人民共和国などの一部の国では、大統領などの国家元首専用機を運用していることもある。反対に特定の政府専用機を持たず、フラッグキャリアやそのほかの航空会社の機材をチャーターし政府専用機として使用する国もある。
運航乗務員は空軍のパイロットが機種別の訓練を受けて乗務していることもあり、客室乗務員については空軍の兵士が民間航空会社で訓練を受けて乗務する場合や、民間航空会社の客室乗務員が乗務することもある。
ドイツのように経済大国であっても航空会社から中古機を購入したりリースにする国もある。
運行する際には、万が一の事態を想定して予備機を随行させる米国や日本のような国もある。ドイツの場合、予備機を用意していなかったために、機体トラブルの影響でG20首脳会合に出席する首相が遅刻したケースがある。
政府専用機の多くは、通常の座席は取り払われるなど、機内仕様は大幅に変更されていることが多い。
設備については多くの国では機密扱いのため公開されることはないが、アメリカ合衆国大統領専用機(VC-25・通称「エアフォースワン」)や日本国政府専用機の場合、要人やその家族向けの寝室や執務室、会議室、随行員用の座席、マスコミ向けの一般客室、内蔵タラップ(エアステア)の他、飛行中に政府機関と連絡を取るための通信設備(アメリカや日本など、ボーイング747ベースの機材の場合は2階席に設置する)などがあることが明らかになっており、他国の専用機もほぼ同様の設備を有する。
ほかにも乗務員の休憩用ベッドやシャワー、紋章の付いたリネン類や食器、簡単な調理もできるギャレーや貨物室への階段などの特別設備や、緊急時の物資運搬に対応するため、一部の座席など設備が短時間で撤去できるような仕組みが施されているケースもある。
なお、カタールやアラブ首長国連邦、サウジアラビアなどの政府専用機の一部やアメリカの大統領専用機には、赤外線画像追尾式ミサイルによる攻撃対策として、これらのミサイルを撹乱する装置が装着されているケースもある。
1910年7月15日、ブルガリア王フェルディナントがベルギーに航空機で訪れたのが首脳が航空機を使用した最初の例である。
1919年のパリ講和会議では、イギリス首相らが爆撃機を輸送機に再設計したエアコーDH.4を使用されたがのが、政府による航空機利用の最初の例である。それからイギリスは1928年に王族移動用として2機のウェストランド・ワピティを導入し、その後多数の機体を所有した飛行隊が結成された(イギリスでの王族・政府高官の航空輸送)。
エアバスA340などを運用。今後、ルフトハンザドイツ航空向けに製造されたが、受領されなかったボーイング747-8を導入する予定。
マクドネル・ダグラスMD-87を国王専用機として運用。ちなみに、この機体は2007年まで日本航空で運用されていた機体である。 他にA340も使用している。
Il-62やボーイング727-100、ボンバルディアCL-601を運用。
ガルフストリーム G500やフォッカー F50を運用。
愛称はズールー語でウミワシを意味するInkwazi(インクワジ)。
リビア航空やアフリキヤ航空のエアバスA340などが使用される。
かつてはガルフストリーム IIを運用していた。
モロッコ王ムハンマド6世や同国首相のため、ボーイング747-8などがモロッコ空軍により運用されている。
各首長国がボーイング747-400や777、737(BBJ)、787 やエアバスA320、アブロRJなどを運用。なお塗装は各首長国ともに共通である。
ボーイング737-200や707、エアバスA321、A340-200を運用。
インド空軍が運航するボーイング777-300ERやボーイング ビジネスジェット(ボーイング737-700)、E145などを使用(コールサインはエアインディアワン)。以前はエア・インディアのボーイング747-400が用いられていた。
ボーイング737-800を運用。以前はガルーダ・インドネシア航空が特別機を運航していた。
ボーイング747-400やボーイング747SP、ボーイング767やガルフストリーム IVなどを運用。
カタール空軍の政府専用機運航部門の「カタールアミリフライト」による運航で、カタール航空塗装、もしくはそれに近い塗装を施したエアバスA340やA319、ガルフストリームなどの機材を運用している。
ボーイング737-300(空軍2号機)の1985年製機を運用、長距離時には大韓航空かアシアナ航空のボーイング747-400も利用されていた。
しかし、通常運用しているボーイング737-300の老朽化と航続距離が問題となった。李明博政権時代の2010年2月、空軍1号機として使用するために、大韓航空と同社所有のボーイング747-400を5年間1,157億ウォンで長期賃借する契約を結んだ。この契約は、朴槿恵政権時代の2014年末に、同社との間で2020年3月まで1,421億ウォンの再契約が行われた。2020年5月29日、国防部は後継機として大韓航空のボーイング747-8(HL7643)を5年間(2021年~2026年)3,000億ウォンで長期賃借する契約を結んだ。
なお、当初は民間からのリース機材であるため、軍用の機体記号ではなく大韓航空時代の機体記号(HL7465)のまま、機内の改造および塗装を変更して使用していたが、2011年に空気吸入口が故障し、航空安全保安基準に達していないことから、2012年にラオスで行われたアジア欧州会合では、以前使われていたボーイング737を利用した。また、2018年の第5回南北首脳会談においても、白頭山に向かうために三池淵飛行場を利用する際、空港の制約からボーイング747-400(空軍1号機)が使えないために利用された。
このほかに、CASA CN-235を改造した、VCN-235(空軍3号機)も運用されている。大統領が搭乗することはないものの、大統領随行員が利用するため「大統領専用機」と呼ばれている。2020年には、ダイヤモンド・プリンセスに乗船している韓国人を帰国させるために使用された。
2020年5月29日、韓国国防部は大統領専用機の空軍1号機として、新たに大韓航空とボーイング747-8Iを賃借する契約を結んだことを発表した。2021年から2026年までの賃借料は約3000億ウォン。なお、契約後の改造だけでも17カ月を要すると見込んでおり、実際の任務は2022年11月以降となる見込み。
2022年1月15日、文在寅大統領の中東訪問より、新しい空軍1号機が任務に就いた。
クウェート航空塗装のエアバスA310やA320、A340、同社のボーイング747-400の特別機を運用。
ボーイング747-SPやボーイング747-400、マクドネル・ダグラスMD-90やマクドネル・ダグラスMD-11、ガルフストリーム IVなどを運用。
スリランカ空軍がベル 412などを運用。
タイ王国空軍が運用する航空機に加え、王室(ラーマ10世)が保有する専用機が存在する。
同国唯一の航空会社である高麗航空の機体が用いられる。飛行機嫌いで知られた金日成・金正日時代は運用はほとんどなかった。
金正恩が最高指導者になってからは、政府専用機塗装のIl-62M(2機)が運用に充てられており、北朝鮮の国鳥であるオオタカ(チャムメ)にちなんで「チャムメ1号」「チャムメ2号」と呼ばれている。少なくとも2014年には金正恩がIl-62Mに搭乗している姿が報道されている。また、An-148を利用している様子も報じられており、聯合ニュースはP-671が専用機のような扱いになっていると報じている。
Il-62Mは老朽化によるトラブルの多さも指摘されている。2014年に崔竜海が訪露した際には機材故障で引き返しが発生しているほか、2016年には火災を起こして中国瀋陽の空港に不時着したことがある。
2018年の米朝首脳会談では、金正恩本人は中国国際航空で中国首脳の移動に利用されるボーイング747-400(機体記号:B-2447)に搭乗し、随行する関係者がIl-62Mに搭乗した。
なお、Il-62Mは2機とも政府専用機塗装に改修されてから機体記号が記されていないため、航空機データベースなどでは機体記号を表示していた時代の番号で便宜上取り扱われている。また、米朝首脳会談時にはP-618が利用されたが、航空管制上は高麗航空の通常機である「P-885」として応答している。
エアバスA319やガルフストリーム IV、ガルフストリーム G500などを運用。2015年10月7日にエルドアン大統領夫妻が来日した際は2011年から運用開始されたA330-200が飛来した。
トルクメニスタン航空が運航しており、同社の塗装となっている。また、政府専用機以外の同社機(ボーイング777-200LR)も政府のコールサインであるTUGを用いて政府向けに運航されることがある。
ボーイング777-300ERを2機運用。2019年3月まではボーイング747-400を運用していた。
なお、国内など短距離の要人輸送においてはU-4 多用途支援機が利用され、政府専用機に準じた存在と位置づけられることもある。
エアバスA310やガルフストリーム IVなどを運用。
バーレーン王室航空(Bahrain Royal Flight)がバーレーン王家のためにボーイング747-400などを運航。かつてはボーイング747SP、ボーイング727-200、エアバスA340を保有していたが、退役している。
長距離飛行可能な機材を持たないヨルダンがチャーターすることもある。
ビーマン・バングラデシュ航空の特別機を仕立てて利用。777またはエアバスA310の利用。
王族専用機としてボーイング747-8、ボーイング747-400やボーイング767、エアバスA340やガルフストリーム Vなどを運用。
要人の外国訪問ではベトナム航空の旅客機を利用する。2023年時点ではボーイング787やエアバスA350が利用されている。
フォッカー F28やベル 412などを運用。
大統領の国外訪問ではMIATモンゴル航空の機体が用いられる。
エアバスA340などを運用。
台湾では総統専用機として、空軍のボーイング737-800(機体番号3701)を運用、台北松山基地に所属する。
カリブ海諸国への長距離移動などにおいてはチャイナエアラインなどの民間機が使用されることもある。
ボーイング747-200、ボーイング757-200、ボーイング737-700などを運用。
ホーカー 400やベル 412などを運用。
2016年現在、カナダ空軍第437輸送飛行隊がエアバスA310(カナダ空軍の形式はCC-150)を運用。
クバーナ航空のイリューシンIl-96やIl-62がよく用いられる。
チリ空軍がボーイング737-500などを運用。
ブラジル空軍による運用。
ダッソー ファルコン 900などを運用。
2016年2月3日、ボーイング787の飛行試験機6号機「ZA006」を改装した上で受領した。しかしアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(アムロ)大統領は就任後、同機は不要であるとして一切公務に使用せず、売却を決定した。
買い手を見つけるために機体をアメリカ・カリフォルニア州に展示したが、購入者が現れなかったため、アムロ大統領などは機体をメキシコに戻し、宝くじの景品として出すことも検討した。その後、2023年4月21日にはタジキスタン政府への売却が発表された。同年5月14日にはタジキスタン政府に引き渡され、2日後の16日からタジキスタン大統領の外遊に利用されている。
リアジェット45が要人輸送および急患輸送に利用されている。しかし、老朽化が進んだことから2024年を目処に機材更新が計画されている。
エアバス A330 MRTTを運用。また、王室専用機として2機のBAe 146が空軍の第32飛行隊に配備されている。
2016年現在、航続距離の関係から欧州各国にむけては政府専用機、欧州域外へ向かう場合には民間航空会社の機体をチャーターする。ブリティッシュエアウェイズやヴァージン・アトランティック航空、タイタン エアウェイズの機材が用いられている。
イタリア空軍のエアバスA319やダッソー ファルコン 50、ダッソー ファルコン 900などを運用。
A319は、2000年に導入されたが、航続距離が短い等の問題を抱えていたため、2015年にエアバス・A340機をVVIP(very very important person)機として導入した。なお、イタリア国内ではフラッグキャリアのアリタリア航空ですら運用していない大型の機体であり、アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空が運行の支援を行った。
2019年現在ではA319を運用。以前はイリューシンIL-62Mを運航していた。
スウェーデン空軍がガルフストリーム IVなどを運用。
内務省航空団がツポレフTu-154MおよびヤコブレフYak-40を運用。
ダッソー ファルコン 50やリアジェット31などを運用。
チェコ空軍がエアバスA319やボンバルディア チャレンジャー 600などを運用。
デンマーク空軍のボンバルディア チャレンジャー 604を運用。
ドイツ空軍輸送隊Flugbereitschaft des Bundesministeriums der Verteidigungが運用している。
以前にはインターフルク航空から購入したエアバスA310を運用していた。A340-300の導入後はフランス国立宇宙研究センター傘下のノヴァスペース社に売却され、機内で微小重力環境を作り出す科学実験機A310 ZERO-Gとして運用されている。
王室の通常の移動には、スカンジナビア航空の民航便を利用。まれにノルウェー空軍のダッソー ファルコン 20を利用。
ローマ教皇の国外訪問にはアリタリア-イタリア航空のチャーター便がよく用いられており、同社の倒産後はITAエアウェイズが後継となると見られている。
ローマ教皇が搭乗したボーイング777型機にアメリカ人が Shepherd One(シェパードワン) というニックネームを付けたことが由来で広く勘違いされているが、正式なコールサインは、Volo Papale の後に教皇が飛行した回数を付けたものである。
バチカン市国内にはヘリの発着場 バチカンシティヘリポートがあり、教皇が保有するアグスタウエストランド AW139が要人輸送ヘリとして使用されている。
フランス空軍においてエアバスA319やエアバスA340、ダッソー ファルコン 50、ダッソー ファルコン 900などを運用。2010年から大統領専用機としてエア・カライベスから中古機購入したエアバス330-200を運用している。
アメリカのように大統領が搭乗する飛行機がエアフォースワンとなるように、大統領搭乗時はコールサインがCotam Unité、もしくはCOTAM 0001が使用される。また、フランス首相が搭乗時には、COTAM 0002もしくは、Cotam Deuxが割り当てられる。
なお、COTAMは 軍用空輸部隊を意味する Commandement du transport aérien militaire の頭字語による略である。
ボーイング737-800およびツポレフTu-154を運用。
第15輸送航空隊に要人輸送機としてダッソー ファルコン 900Bを1機、エンブラエル ERJ 145を2機、エンブラエル ERJ 135を2機を保有していたが、コスト削減のために退役させ、外部委託に切り替えた。
2010年4月10日、当時運用されていたツポレフTu-154が、レフ・カチンスキ大統領の搭乗中に墜落した。
TAP ポルトガル航空のエアバスA340などのチャーターのほか、ポルトガル空軍がダッソー ファルコン 50などを運用。
Yak-40などを運用。
ボーイング707やBAC 1-11などを運用。
リアジェット35などを運用。
Il-96などを運用。
オーストラリア空軍の第34飛行隊がボーイング737(ボーイング ビジネスジェット)やボンバルディア チャレンジャー 604を運用。
王立ニュージーランド空軍(RNZAF)第40飛行隊(オークランド空軍基地フェヌアパイ飛行場所属)がニュージーランド政府専用機(ボーイング757-200)2機を2003年6月から運用。首相や政府要人の輸送の他、ニュージーランド国王やイギリス王室のメンバーがNZ訪問時には政府専用機として運用される。通常時は空軍輸送機として兵士や物資の輸送を行っている。1980年代から2003年まではボーイング727 2機を政府専用機として運用した。
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