![リカ (小説) リカ (小説)](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
『リカ』は2002年に幻冬舎から刊行された五十嵐貴久の小説及びそのシリーズ。2003年・2019年・2021年にテレビドラマ化、2021年に映画化された。
出会いサイトで知り合った雨宮リカという怪物のような女性にストーキングされ追い詰められるサラリーマンの姿を描いたホラーサスペンス小説。
2001年第2回ホラーサスペンス大賞を受賞した著者のデビュー作で、2002年2月に単行本が発売された。なお、選考時のタイトルは『黒髪の沼』。2003年に文庫本が発売され、単行本には未収録だったエピローグが収録されている。その後2013年に約11年ぶりの続編『リターン』を刊行。その後『リバース』をはじめとした、リカの過去やリカの事件に巻き込まれた人間に焦点を当てた文庫オリジナルの『リカ・クロニクル』シリーズが刊行されている。
印刷会社「東洋印刷社」に勤めるサラリーマン・本間隆雄は、家族を愛しながらも、かつて後輩が勧めた出会いサイトの魅力に嵌り、インターネット上で交わされる女性とのやり取りに興じる日々を送っていた。
ある時、本間は自身の昇進を機に、出会いサイトの中で知り合った「リカ」に携帯番号を教え、コンタクトを取ろうとする。それを機に本間は、リカから執拗に電話を受け、嫌気が差した本間は新しく携帯を変えて関係を絶つ。だが、リカは本間の想像を超えたストーキングを開始し、居所をリカに突き止められた本間は、リカの常軌を逸した手段に精神的にも追い詰められてしまう。本間の周りの人間がリカの犠牲にさらされたとき、本間はリカとの対峙を決意する。
過去から『リバース』→『リセット』→『リフレイン』→『リハーサル』→『リカ』→『リターン』→『リベンジ』→『リメンバー』の順。ただ『リフレイン』はこれまでのリカシリーズの総集編も兼ねてある為か、話の核となる火災事故の前後の出来事を扱っている描写がある。また同じく『リフレイン』以降の作品 では、事件の起きた年が微妙に違っているなど(『リターン』で1作目の出来事が2002年12月に起こっていることが判明しているが、『リフレイン』では2000年に起こったとされている)、若干の齟齬がみられている。
2003年のテレビ朝日制作の単発ドラマ、2019年の東海テレビ制作の連続ドラマ共に共同テレビジョン(共テレ)が携わっている。
2003年3月1日に「土曜ワイド劇場」枠で「土曜ワイド劇場25周年記念特別企画」として放送された。
2019年10月5日から11月30日まで、東海テレビ・フジテレビ系「オトナの土ドラ」枠で放送。小説シリーズの中から、『リハーサル』『リカ』の2冊を原作とする2部構成。ホラーサスペンスではあるがドラマ全体的に過度に刺激的な要素はある程度抑えられ、同時にリカや他の人物の心理面を強調して描いた、東海テレビお得意の「ドロドロ愛憎劇」の様相も呈している。
キャッチコピーは「私といっしょにいるの幸せでしょ?」。
自称28歳。原作小説での身体的な特徴(長髪、長身で体臭がきつい、等)は殆どカットされ、代替として左腕に十字の痣があるという設定が加えられた。この痣は普段はファンデーションで隠しているが、リカの感情の昂ぶりによって黒や薄紅色に光る。性格は基本的に「運命の人」に対して献身的な態度を見せるが、自分の思い通りにいかないことがあるとすぐ舌打ちをする癖があり、自分の邪魔をする人間に対し小さい声で「死ねばいい」とつぶやく事がある。その一方で幼い頃に母親に虐待され家族の愛も知らずに育ったため(前出の痣もその時の虐待のものらしい)、その影響からか第1部では師長の藤鐘に対し娘に対してもっと丁寧に接してほしいと抗議する描写があり、第2部でも原作や原作続編『リメンバー』とは違い、父母が別居していていじめられていた本間の娘・亜矢に対し優しく接している。また蒐集癖もあり、運命の人に関連する物品(第1部では手術用のゴム手袋やペアン鉗子等)をハーバリウムに入れて保存していた。
『リハーサル』がベース。前出の藤鐘の母子のエピソードが追加されているほか、第2部でも登場する丘留千秋の設定の変更(原作では丘留陽子の名で大学を出たばかりの受付係。ドラマでは既婚者)、そして原作では酸鼻な幕切れだった第1部ラストの描写が、深夜枠とはいえテレビドラマとして放送可能なレベルに抑制されている。
第1部から3年後を描く。小説第1作がベースだが、次の点で設定が原作小説と著しく異なっている。
2019年版より過去の物語として、『リカ〜リバース〜』のタイトルで2021年3月20日から4月3日まで同じく「オトナの土ドラ」枠にて放送された。リカの母親である麗美を主人公とし、ベースとなった小説『リバース』には無かった、実の娘の家庭教師である宗像に対する一方的な片想いが追加された反面、父親・武士の死因や、後に小説シリーズで重要な設定の発端となるリカ(結花)の病気、そしてそれらによる新興宗教が絡んだ人間関係の著しい変化など、登場人物の設定が一部変更または割愛されている。
『リカ〜自称28歳の純愛モンスター〜』(リカ じしょうにじゅうはっさいのじゅんあいモンスター)のタイトルで、2021年6月18日に公開。『リカ』の文庫版エピローグと『リターン』を原作とし、2019年の連続ドラマ版最終回の3年後を描く。キャッチコピーは、「惚れたら、死ぬ。」。PG12指定。
3年前にリカによって拉致され行方不明になっていた本間が、ある山中でトランクケースに詰められた死体となって発見された。リカを追う刑事の奥山はマッチングアプリを使って自らを囮にしてリカをおびき出そうとするが、同じ刑事であり婚約者でもある孝子はリカにのめり込んでいくような捜査方法に不安を隠せずにいた。しばらくして音信不通となり不安を感じた孝子は先輩刑事の尚美と共に奥山の部屋をたずねるが、そこで見たものは変わり果てた奥山の死体だった。リカを逮捕し無念を晴らすため、2人は遺された奥山の携帯からリカへの接触を試みる。
電子書籍アプリ『コミックコンテナ』で、富士高因の作画で『リカ 黒髪の沼』(りか くろかみのぬま)のタイトルでコミカライズ。また『リカ』の続編『リターン』もバーズコミックスで、玄田げんたの作画で『リターン ~漆黒のゴースト リカ~』のタイトルでコミカライズされた。
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