Mk 12 5インチ砲は、アメリカ海軍が1934年に制式化した38口径長5インチ砲。各種の砲架や砲塔と組み合わされて艦砲システムを構成する。
概要
1920年代、アメリカ海軍では、5インチ口径の砲としては、51口径長の平射砲を戦艦の副砲として、また、25口径長の高角砲を各種艦艇の高角砲として運用していた。しかし、特に対空射撃能力の相対的陳腐化もあり、これらを兼用できる新型の両用砲が求められた。これに応じて開発されたのが本砲であり、1934年よりファラガット級駆逐艦に搭載されて装備化されたのち、駆逐艦級艦艇の主砲、あるいは大型艦の高角砲として広く搭載された。
基本的には38口径長5インチ口径のMk.12砲身を、旋回砲座上の砲架に搭載したかたちとなっており、この上にガンハウスを搭載するものと、搭載しないものがある。このうち、特にガンハウスを有する単装砲塔であるMk.30には多くのサブタイプがあるが、おおむね、砲座の下に揚弾薬機構を有するものと、これを持たないものとに分けられる。
本砲システムは、アメリカ海軍が採用した砲としては最多の生産数を達成したものと見られており、5インチ38(5"/38)の通称で有名である。本砲システムは、多くの場合Mk.37 GFCSと組み合わされて、武器システムを構成することとなった。
諸元表
砲本体
出典: navweaps.com 2013
諸元
- 種別: 後装式ライフル砲
- 口径: 127mm
- 砲身長: 38口径長(4.826m/190in)
- 重量: 1,810kg(砲尾を除く)
- 全長: 5.683m(223.8in)
作動機構
- 砲尾: 垂直鎖栓式閉鎖機
- 反動: 油圧式駐退復座装置
- 砲架: 露天砲架、単装砲塔、連装砲塔など多数
性能
- 初速: 762メートル毎秒(2,500fps)
- 最大射程: 15,903m(AAC Mk.49)/21,735m(RAP弾)
- 最大射高: 11,887m
- 発射速度: 12-15発/分(通常)、15-22発/分(砲塔統合ホイスト使用時)
砲弾・装薬
砲架・砲塔
使用砲弾
採用艦艇
登場作品
映画
- 『沈黙の戦艦』
- アイオワ級戦艦「ミズーリ」に搭載されたMk.28 mod.2が登場。16インチ主砲の夜間射撃を支援するために使用され、照明弾を発射して敵潜水艦の位置を丸裸にする。実物大のモックアップが撮影に使用されている。
脚注
注釈
出典
参考文献
- Campbell, N. J. M. (1986). Naval Weapons of World War Two. Naval Institute Press. ISBN 978-0870214592
- Friedman, Norman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 978-1557502681
- navweaps.com (2013年). “USA 5"/38 (12.7 cm) Mark 12” (英語). 2013年12月29日閲覧。
- 梅野, 和夫『世界の艦載兵器―砲熕兵器篇』光人社、2007年。ISBN 978-4769813590。
関連項目
- ウィキメディア・コモンズには、Mk 12 5インチ砲に関するカテゴリがあります。
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