![名探偵コナン 異次元の狙撃手 名探偵コナン 異次元の狙撃手](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
『名探偵コナン 異次元の狙撃手』(めいたんていコナン いじげんのスナイパー)は、2014年4月19日に公開された、日本のアニメ映画で、劇場版『名探偵コナン』シリーズの18作目。上映時間は110分。興行収入は41億1,000万円。『名探偵コナン』連載20周年記念作品。第38回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞作品。
キャッチコピーは「奴……だったのか!?」「工藤新一、遊びは終わりだ!」「遊びは終わりだ、名探偵。」「夜空の貫く正義の弾丸!その眼に映る禁断の謎(パンドラ)ミステリー」「ターゲットは誰だ!?暴かれる超危険な真実!!」「禁断の真実への扉が、いま音を立てて開き始める……!」
劇場版シリーズ第18作。監督を前作『絶海の探偵』と同じく静野孔文、脚本を前々作『11人目のストライカー』から2年ぶりに古内一成が担当する。なお、古内は2016年7月18日に死去したため、本作が劇場版『名探偵コナン』シリーズ最後の参加作品となった。また、2003年の劇場版シリーズ第7作『迷宮の十字路』以来、一部の作品を除き10年以上にわたって音響監督を務めてきた浦上靖夫が同年12月18日に逝去したため、本作は浦上が音響監督を担当した最後の作品にもなった。名探偵コナンの映画の製作ペースとしては、単独では例年同様前作から1年ぶりだが、前年(2013年)は『ルパン三世』とコラボした劇場版『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』も公開されているため、それも含めるとコナン劇場版史上初の前作から4ヶ月後(『絶海の探偵』から『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』までと同様に、前作公開からの期間が1年未満)の新作公開ともなった。
物語は、高さ635メートルの「東都ベルツリータワー」で発生した狙撃事件に、アメリカ海軍特殊部隊「Navy SEALs」が絡んで来るという内容である。
テレビシリーズから世良真純、沖矢昴、FBIメンバーの赤井秀一、ジョディ・スターリング、ジェイムズ・ブラック、アンドレ・キャメルら6名が初登場することが発表された。このため、公開直前の2014年4月5日と翌週の4月12日には本放送枠でジェイムズ・ブラックが初登場したエピソードである「シカゴから来た男」 が再放送された。他にも、世良が江戸川コナンから電話を受けるシーンにて、本作の公開時点ではテレビシリーズに未登場の領域外の妹(メアリー・世良)が布団に包まっているが、作中の言及はなく登場人物としてカウントされていない。また、置鮎龍太郎が綾小路文麿と沖矢昴の2役を演じ分けるとともに、綾小路が2年連続で登場するのは本作が初となる。なお、ジェイムズ・ブラックの声を担当していた家弓家正が2014年9月30日に死去したため、家弓が演じるジェイムズが登場する映画は本作のみである。本作ではコナンが追っている黒ずくめの組織は関与していないが、犯人が狙撃手(スナイパー)であることから、作中序盤でコナンが犯人として組織のジン・キャンティ・コルンの姿を想起している。エンドロールを締め括る「コナンの目」の登場は本作が最後になっている。
ゲスト声優は、俳優の福士蒼汰、お笑いコンビのパックンマックン、元・阪神タイガース外野手でプロ野球解説者の赤星憲広であり、福士とパックンは容疑者、赤星とマックンは刑事役だった。
原作者の青山剛昌は、公開直前のインタビューで「原作でまだ出していないネタも出して、ネタばらししている部分もあります」と発言している。
本作の公開と同日に放送されたテレビアニメ『名探偵コナン』の第735話「暗号付きの招待状」 は本作のプレストーリーになっており、ベルツリータワーも登場する。また、これまでテレビアニメ化が唯一見送られてきた原作エピソードのFILE.594「逃亡者」が、本作の公開を記念して「逃亡者・毛利小五郎」のサブタイトルでNOTTVにて初アニメ化された。
近年のシリーズ同様、本作も小説版が小学館のジュニア文庫(小学館ジュニアシネマ文庫)から2014年4月17日に発売されており、小説版の作中では阿笠博士と灰原哀が劇場版シリーズ第15作『沈黙の15分』での出来事について言及している。なお、作中のとある看板に神海島という文字があるが、この島は第11作『紺碧の棺』の舞台となった架空の島である。
オープニングは博士のアイテムや灰原の紹介などは省略されており、劇場版初登場キャラクター(FBI、世良、赤井、沖矢)の紹介にとどまっている。
本作のダジャレクイズは『沈黙の15分』と同様、博士だけでなく灰原も出題している。
予告編に登場した赤井の台詞「そんな顔をするな…命に代えても守ってやる…」は、テレビアニメ第675話「1ミリも許さない(前編)」の台詞を流用したものであり、本編には登場しない。
劇場版シリーズの定番となっているエンディング後の次回作の予告が今作でも放映された。エピローグ終了後に、ひまわりを背景に、次回作の製作および公開が決定したと言う旨の字幕による予告が流れた。のちに次回作はゴッホの『ひまわり』を題材とし、怪盗キッドがメインとなる『業火の向日葵』であると発表された。
2016年に開催された歴代映画19作品の人気投票で、今作は6位を獲得した。
ある日、コナンたちは東京を一望できるベルツリータワーのオープニングセレモニーに参加した。しかし、展望台からの絶景を楽しんでいる一同の目の前で突如、男性客の1人が謎のスナイパーに狙撃されて死亡する。コナンは狙撃ポイントが彼方のビルであることを突き止め、ターボエンジン付きスケートボードで急行する。
現場に居合わせた世良真純に助けられながら必死に犯人を追跡するが、パトカーを手榴弾で爆破するなど逃走するために手段を選ばない犯人に翻弄され、コナンと真純は犯人の標的になってしまう。駆けつけたFBIによって形勢は逆転するが、あと少しのところで犯人を取り逃がす。一方、犯人が狙撃したポイントには、1発の空薬莢とサイコロが置かれていた。
後日、FBIと警視庁の合同捜査が開かれ、そこで容疑者として浮上したのはティモシー・ハンターという男性だった。ハンターは元ネイビーシールズの隊員で、狙撃の名手として有名だったが、交戦規程違反の疑惑がかかって除隊していた。そして、ベルツリータワーで狙撃された藤波宏明は、彼に高額の不良物件を売り付けて破産の原因を作っており、真純が探偵として追っていたという。また、アメリカでもハンターを執拗に取材して記事を書き立てた記者が狙撃される事件の後、ハンターは日本に渡っていた。捜査本部はハンターを最重要容疑者として、今後彼に狙われる可能性のある3人の人物を挙げた。
その3人のうち1人である森山仁に見覚えのあった真純は、彼の自宅を突き止めてコナンと共に訪れる。しかし、その森山がコナンたちの目の前で狙撃され、第2の犠牲者となってしまう。
そして、立て続けに第3の狙撃事件が発生するが、射殺されたのは一連の事件の犯人と思われていたハンターだった。犯人がハンターではなかったことの謎や次は誰が狙われるのかといった情報が錯綜する。また、日本で前例のない連続狙撃事件であるうえ、無差別殺人ではないかとの憶測も飛び交い、東京中がパニックに陥ってしまう。
コナンはハンターについての情報を新たに入手すると、そこから日本における狙撃が彼のものではない可能性に気付いて高木刑事に連絡し、標的となっているビル・マーフィーとジャック・ウォルツの情報を聞き出す。そこで、第4の狙撃がマーフィーを標的としていることを突き止めたコナンは、狙撃を阻止しようと第4の狙撃ポイントへ向かう。しかし、すでに犯人が狙撃地点にいることに気付いて何とか狙撃を妨害しようとしたものの、コナンは逆に犯人から狙われたうえに自分をかばった真純が撃たれて負傷し、マーフィーへの狙撃も遂行されてしまう。
現場に残されたダイスから、犯人が最後の狙撃を計画していることをコナンは突き止めるが、狙撃ポイントが分からず悩んでいた。しかし、入院中の真純を見舞いに行った際、少年探偵団が持参していたベルツリータワー周辺のジオラマを見て狙撃ポイントを推測したコナンは、そこを訪れたうえで犯人が狙撃ポイントからどの辺りを狙撃するのかも突き止める。
一方、ジャック・ウォルツはカルロス・リーを通じてマーク・スペンサーから狙撃用のライフルを受け取っていた。その際、ウォルツはスペンサーがすでにこの事件の真相と動機に気付いているという旨のメッセージをカルロスから受け取り、犯人を射殺する決意を改めて固くする。だが、夜になって一度昼に訪れていた狙撃ポイントを訪れたウォルツは、昼間には無かった犯人からのメッセージが窓に貼られていることに動揺し、犯人_ケビン・ヨシノはその隙を突いてウォルツに狙いを定める。実はハンターは戦傷の後遺症に長い間悩まされており、復讐しようにも自らは遂行できないため、ハンターを慕うケビンに復讐の代行を依頼。ケビンはハンターから叩き込まれた狙撃技術によって復讐を代行し、ハンターはその計画の一環と後遺症からの解放を兼ねて、ケビンに自らを射殺させたのだった。
ケビンが狙撃の成功を確信した瞬間、何かの物体がウォルツの居るビルへ向かって飛んで行き、彼への狙撃は失敗する。物体の飛跡をたどったケビンはマーフィーの狙撃時に見たコナンを発見し、銃口を彼に向ける。コナンはビルの屋上でスケボーを使って逃げ回るが負傷してしまい、窮地に陥る。
しかし、独自の推理で犯人の最後の狙撃ポイントを突き止めていた沖矢昴がライフルで応戦し、ケビンはスコープ越しに被弾する。それでもケビンはタワーを停電させたうえで展望フロアに下り、貸切でタワーからの夜景を楽しんでいた蘭と園子、そして少年探偵団に銃口を向け、歩美を人質に取る。コナンからの連絡を受けて現場に到着したFBIも加わり、DBバッジのモスキート音を利用した少年探偵団の作戦などで応戦するが、コナンの意図を汲み取れないまま反撃した蘭は、ケビンに人質とされてしまう。
窮地の中、コナンはライトスコープを着用中のケビンをボール射出ベルトの花火ボールの閃光で怯ませ、その隙に昴はケビンの手を狙撃して銃を弾き飛ばすと、蘭がケビンを鎮圧してキャメルが身柄を確保する。昴がジェイムズ・ブラックと連絡を取った後、チョーカー型変声機のスイッチを切って赤井秀一の声で「了解」と呟いたところで、物語は終幕を迎える。
本作では狙撃手(スナイパー)による複数の射殺事件が起き、コナンたちも関わっていく。
新一に薬を飲ませて幼児化させた世界規模の犯罪組織。本作の事件がスナイパーによる連続犯行であったことから序盤にコナンが関与を疑って以下の3人を想定し、台詞無しのイメージとして登場した後、今回は無関係であったことが判明する。
2013年12月7日に公開されたルパン三世とのクロスオーバー作品『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』の本編上映終了後、ルパン一味とのコラボレーションによる本作の特報が上映された。
2014年2月2日にはTBS系列局である中国放送の特別番組『世界が知りたいニッポンの技〜美と食の匠たち…ひろしま篇』で、本作の背景を担当した石垣プロダクションを俳優の谷原章介が訪ねた際、背景技術の紹介と共に本作が紹介された。また、同年2月6日には俳優の福士蒼汰とお笑いタレントのパトリック・ハーランが英語によるアフレコで出演することも発表された。
3月7日には前作『絶海の探偵』にゲスト出演していた柴咲コウが本作の主題歌を担当することが発表され、同年3月17日には福士とハーランの公開アフレコが行われた。柴咲は2009年公開の『ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』以来5年ぶりにアニメ主題歌を、福士はケビン・ヨシノ役を、ハーランはジャック・ウォルツ役を担当した。
3月19日には野球評論・解説者の赤星憲広が友情出演することが発表された。担当するキャラクター、赤星刑事は赤星に似せてデザインされた。
3月20日に発売された雑誌『エンタミクス』(KADOKAWA) では、本作の主人公である江戸川コナンが、東映映画『相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ』の主人公である杉下右京と並んで表紙を飾るという、両作の特集に絡めて出版社や配給会社の垣根を越えたコラボレーションが行われた。また、同年4月16日に発売された本作の主題歌「ラブサーチライト」のシングルでは、コナンと柴咲がイラストで共演するというコラボレーションが行われた。
3月31日には完成披露試写会が行われ、主要声優陣、柴咲、福士、ハーランが登壇した。
4月8日には都内の「品川エトワール女子高等学校」で、ゲスト声優を務める福士蒼汰とパトリック・ハーランが、約40名の女子高生を相手に英語の授業を行なった。
4月15日からは、公開記念特番「福士蒼汰vsパックン 謎の対決3番勝負!!」が各局で随時放送された。
全国341スクリーンで公開され、2014年4月19日と翌20日の初日2日間で歴代最高の興収7億8,933万2,300円、動員64万9,865人を記録したうえ、興行通信社の調査による映画観客動員ランキングで初登場第1位を獲得し、『アナと雪の女王』の6週連続1位を阻止した。また、ぴあの調査による初日満足度ランキングでは第1位を獲得した。
2014年5月18日には前作『絶海の探偵』の最終興収36億3,000万円を上回り、当時のシリーズ最高興収記録を更新した。さらに累計動員数も300万人を突破し、興行収入はシリーズ史上初となる40億円超えを記録した。最終興収は41億1,000万円となり、シリーズ累計興収も500億円の大台を突破した。
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