![朝鮮民主主義人民共和国国務委員会 朝鮮民主主義人民共和国国務委員会](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/3c/Emblem_of_North_Korea.svg/400px-Emblem_of_North_Korea.svg.png)
朝鮮民主主義人民共和国国務委員会(ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこくこくむいいんかい)は、2016年6月29日に設立された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)における国家主権の最高政策指導機関。
委員会を司る国務委員長は北朝鮮の元首であり憲法では北朝鮮を代表する最高指導者と規定される。現在金正恩がその地位に就いている。
2016年6月29日に開催された第13期最高人民会議第4回会議で憲法が改正されそれまでの国防委員会に代わって新設された。国防委員会は第2代最高指導者・金正日の執権時代に掲げられた先軍政治の思想の基に重要視された「最高国防指導機関」だったが、新たに設置された国務委員会は改正憲法により「最高政策指導機関」と規定され、軍事に加えて外交、経済などの国家全体に責任を持つ機関として位置づけられた。
これにより初代最高指導者・金日成の執権時代に「国家主権の最高指導機関」とされていた中央人民委員会を頂点とする政治体制に近くなったものと分析されている。また、国防委員会の構成員は主に朝鮮人民軍の軍人(制服組)で占められていたが、新設された国務委員会では軍人よりも朝鮮労働党の党人が重用されている。
このような組織改編は、2011年12月に金正日が急逝したのを受けて第3代最高指導者となった金正恩が父親の正日が残した「遺訓」から脱して、改めて金正恩体制の確立を内外にアピールしたものであると分析された。その一方で、国防委員会は金日成の死後に大量の餓死者を出した1990年代の苦難の行軍の時期に強化された一種の非常管理体制であり、国務委員会への組織改編は非常事態が一段落し、社会主義体制による正常な国家に戻ったことをアピールしたものとも分析された。
また、金正恩が最高指導者に就任した後に行われた軍事的な決定は国家機関の国防委員会よりも、党機関の党中央軍事委員会で下されることが多くなっており、党の役割が再強化されたといわれており、その分析を裏付けるように国防委員会が廃止されて党人が多く参画する国務委員会が設立されたことになる。
国防委員会の傘下機関であった人民武力部、人民保安部、国家安全保衛部は、それぞれ部から省へと格下げ改編され、国務委員会の傘下機関となった。
さらに2019年4月の憲法改正により、委員長は国を代表するとの文言が付け加えられた。これにより名実ともに金正恩が憲法上も国家元首と位置づけられ、2021年には委員長の英語表記がそれまでの「the Chairman of the State Affairs Commission of the Democratic People's Republic of Korea」から「President of the State Affairs Commission of the Democratic People's Republic of Korea」に変更された。ただし、外国使節の信任状および召喚状の接受などの儀礼的な国家元首の業務は従前どおり最高人民会議常任委員会委員長が担っている。
2016年憲法改正によって国防委員会から国務委員会に変更されたことで、委員会と委員長の役割と職権が変更された。以下に主な変更点をあげる。
なお、国家の最高指導者としての委員長の職権のうち「国家の全般事業を指導する」、「委員会の事業を指導する」、「他の国と結んだ重要条約を批准または廃棄する」については変更がなかった。
2019年憲法における国務委員長の職権は以下の通り。
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