![第90回アカデミー賞 第90回アカデミー賞](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
第90回アカデミー賞(だい90かいアカデミーしょう)は、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が主催する賞であり、2017年の映画を対象とし、2018年3月4日にカリフォルニア州ロサンゼルス市ハリウッドのドルビー・シアターで午後5時30分(PST)より授賞式が行われた。授賞式は通常2月末に行われるが、今回は2018年冬季オリンピックとの競合を避けるため1週遅れとなるアメリカ合衆国ではABCによって放送され、プロデューサーはマイケル・デ・ルカとジェニファー・トッド、ディレクターはグレン・ウェイスが務める。司会は前回に続きコメディアンのジミー・キンメルが務める。2年連続での同一司会者の起用はビリー・クリスタル(1997・1998年)以来のことである。
関連イベントとしては、2017年11月11日にハリウッド&ハイランドセンターで第9回ガヴァナーズ賞授賞式が行われた。2018年2月10日にはカリフォルニア州ビバリーヒルズのビバリー・ウィルシャー・ホテルで パトリック・スチュワートの司会によりアカデミー技術貢献賞授賞式が行われた 。
『シェイプ・オブ・ウォーター』が作品賞、ギレルモ・デル・トロの監督賞など4部門を受賞した。『ダンケルク』は3部門を受賞した。この他に『ブレードランナー2049』、『リメンバー・ミー』、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、『スリー・ビルボード』が2部門を受賞した。『スリー・ビルボード』においてフランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルがそれぞれ主演女優賞、助演男優賞を受賞したほか、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』においてゲイリー・オールドマンが主演男優賞を、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』においてアリソン・ジャニーが助演女優賞を受賞した。アメリカ合衆国では2650万人の視聴者を獲得したが、これは歴代では最も低い数値であった。
第90回アカデミー賞の候補は2018年1月23日5時22分PST(13時22分UTC)にサミュエル・ゴールドウィン・シアターでティファニー・ハディッシュとアンディ・サーキスにより発表され、アカデミーによりストリーミング配信された。
最多候補作は『シェイプ・オブ・ウォーター』の13部門、次いで『ダンケルク』の8部門、『スリー・ビルボード』の7部門である。
受賞者は各項目最上段に太字でダブルダガー () 付きのものである。
アカデミーは2017年11月11日に9回目となるガヴァナーズ賞授賞式を開催し、以下の賞が贈られた:
以下は賞のプレゼンターとミュージカルナンバーのパフォーマーの一覧。
前回の授賞式から賛否両論あったが、アカデミーはマイケル・デ・ルカとジェニファー・トッドをプロデューサーとして2年連続で迎え入れた。2017年5月、ジミー・キンメルが2年連続で司会を務めることが発表された。キンメルは再び司会を務めることに興奮しながら、「アカデミー賞の司会は私のキャリアにおけるハイライトであったし、大好きなマイケル・デ・ルカとジェニファー・トッドとともにもう一度呼んでくれたシェリル・ブーン・アイザックス、ドーン・ハドソン、アカデミーに感謝している。もし今年(第89回)のエンディングがめちゃくちゃだったと思うなら、90周年記念ショーの企画を見るまで待って!」とコメントした。キンメルはプロモーション映像を撮影したり、自身のトークショーで議論したりと、授賞式のために広範囲にキャンペーンを行った。
2017年12月4日、授賞式とその前の式典の時間が変更され、両方とも従来より30分早く放送されることが発表された。ノミネート発表の前半には、女優(プリヤンカー・チョープラー、ロザリオ・ドーソン、ガル・ガドット、サルマ・ハエック、ミシェル・ロドリゲス、ゾーイ・サルダナ、モリー・シャノン、レベル・ウィルソン、ミシェル・ヨー)を特集した録画映像が紹介された。
アカデミーの伝統として、前年の主演男優賞の受賞者は翌年の主演女優賞のプレゼンターを務めるが、前年の主演男優賞を受賞したケイシー・アフレックはセクシャルハラスメントの告発によってプレゼンターを辞退することが報じられた。ジョディ・フォスターとジェニファー・ローレンスがともにアフレックの代わりを務めた。主演男優賞のプレゼンターはジェーン・フォンダとヘレン・ミレンが務めた。ウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイは、去年発表ミスとなった作品賞のプレゼンターを再び務めた。6年連続でステージデザインを手掛けるデレック・マクレインは、4,500万ドルのスワロフスキー・クリスタルでステージを設計した。
2018年1月23日のノミネート発表時には、9本の作品賞候補の北米興行収入の総額は5億6,820万ドルで、映画1本あたりの平均は6,310万ドルだった(ただし4,600万ドルを超えたのは『ダンケルク』『ゲット・アウト』のみ)。ノミネート発表時点で、『ダンケルク』は作品賞候補の中で最も興行収入が高く、アメリカ国内で1億8,800万ドルだった。次点は『ゲット・アウト』(1億7,560万ドル)で、以下は『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(4,570万ドル)、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(4,100万ドル)、『レディ・バード』(3,910万ドル)、『スリー・ビルボード』(3,220万ドル)、『シェイプ・オブ・ウォーター』(3,040万ドル)、『君の名前で僕を呼んで』(910万ドル)、『ファントム・スレッド』(630万ドル)と続く。
ノミネート発表日から2018年3月4日の授賞式までの期間で、作品賞候補の北米興行収入の総額は1億2,670万ドルで、映画1本あたりの平均は1,400万ドルだった。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(3,460万ドル)と『シェイプ・オブ・ウォーター』(2,700万ドル)は、その期間で最も興行収入が高く、以下は『スリー・ビルボード』(1,980万ドル)、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(1,450万ドル)、『ファントム・スレッド』(1,380万ドル)、『レディ・バード』(920万ドル)、『君の名前で僕を呼んで』(750万ドル)、『ゲット・アウト』(1週間の再公開から353,795ドル)と続く。
ノミネートされた全36作品のうち15作品は、当年の米国興行収入トップ50に入っている。15作品のうち、『リメンバー・ミー』(12位)、『LOGAN/ローガン』(15位)、『ダンケルク』(16位)、『ゲット・アウト』(18位)、『ボス・ベイビー』(19位)『フェルディナンド』(35位)のみが作品賞、長編アニメ映画賞、監督賞、男優・女優賞、脚本賞のいずれかにノミネートされている。トップ50のうちその他のノミネート作品は、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(1位)、『美女と野獣』(2位)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』(8位)、『キングコング:髑髏島の巨神』(17位)、『猿の惑星: 聖戦記』(20位)、『ワンダー 君は太陽』(23位)、『グレイテスト・ショーマン』(29位)、『ベイビー・ドライバー』(36位)、『ブレードランナー 2049』(41位)。
主演女優賞を獲得したフランシス・マクドーマンドのオスカー像は、授賞式後のアフターパーティーのチケットを持っていたテリー・ブライアントという男に15分間盗難された。ブライアントは像と自身を撮影し、報道によれば「私が勝ち取った」と周囲に伝えていたという。ブライアントを勝者と信じなかったウルフギャング・パックのカメラマンに捕らえられ、像はマクドーマンドに戻った。
アカデミーは声明の中で、「主演女優賞のフランシス・マクドーマンドと彼女のオスカー像は、昨晩の短い別れの後再会を果たした。窃盗犯はカメラマンとアカデミーの迅速なセキュリティーチームによって即逮捕された」と伝えた。ロサンゼルス市警察に逮捕され、大きな窃盗として告訴されたが、「逃走を犯さなかった」との判決で保釈金なしで解放された。彼は2018年3月28日に裁判所に出席し、聴聞会の予定が5月1日に変更された。
授賞式は各種メディアから賛否両論を受けた。いくつかのメディアは批判的だった。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには28件のレビューがあり、批評家支持率は46%となっており、「第90回アカデミー賞は大きな障害もなく安全に終わったが、4時間以上にもわたる式典で驚きの結末のずっと前から歓迎はすり減っていった」と総評した。
ワシントン・ポストのハンク・スタイーバーは、「扱いやすく共有しやすく忘れられない司会者がいれば、テレビ放送は鋭く正確である必要はないことをジミー・キンメルは2年目で示した。我々はここでショービジネスの歴史を作っているのではない。我々はもう一つのオスカーの夜を乗り越えようとしているだけだ」と述べた。Vultureのチーフ批評家、デイビッド・エデルスタインは、「今回は私が今までに見た中で最高で最もインスピレーションがあり、最も激しく好ましいアカデミー賞の放送だったとともに、実際の賞の面では最も失望したものでもあった」と述べた。ヴァニティ・フェアのリチャード・ローソンは、「キンメルは司会として、注意深く適切に考慮されたトーンを一貫した。式典は我々の多くがオスカーを狙っているという野暮で安っぽい装いを維持しながらも、それを取り巻く全ての混乱を認識した素晴らしい仕事をした」と述べた。 CNNのブライアン・ローリーは、「オスカーは大きくて扱いにくい獣で、あまりにも多くの主人に仕えようとしている。しかし、外の世界や見て見ぬふりをされてきた問題を無視せずに祝いのトーンを維持することが式典の一貫した目的だったなら、ホストのジミー・キンメルとショー自身は大いに成功した」と述べた。
一方でショーに批判的な意見もあった。バラエティ誌のモーリーン・ライアンは「すべてのことが考慮され、ショーは控えめな雰囲気を持っていた。ジミー・キンメルは最善の尽力をしていたが、通常、雰囲気に飲みこませるまで2時間かかるというのに、日曜日のテレビ放送はかなり早い段階から活力のない雰囲気で始まった」と述べた。ニューヨーク・タイムズのジェームス・ポニーウジクは、「ハリウッドの最近の激動にもかかわらず、会場が巨大な球体に包まれているかのように見える眩しいセットからも分かるように、式典はほぼ祝福ときらめきにフォーカスしていた。長年にわたって式典の部門が膨らみ続ける問題もある。厄介なのは、すべての部門にそれぞれ支持者がいること」と述べた。エンターテインメント・ウィークリーのDarren Franichは、「長時間であることこそ今年のオスカーの楽しさ。どこをカットできる?」と述べた。 Deadline.comのグレッグ・エヴァンスは、「4時間近くにわたる式典の中でオスカーの90年のために割かれた時間があったか? おそらくない」と述べた。オレゴニアンのコラムニスト、クリスティ・ターンクイストは、「敬意を表したものだったかと言えば、間違いなくそうだった。冴えない真面目な式典になっていたかと言えば、どちらかといえばそうだった」と述べた。
Nielsen ratingsによれば、米国視聴者は2,650万人に達したが、昨年の式典から16%低下し、オスカー史上最も低い米国視聴率となった。3月6日、最終的な視聴率の確定後、ドナルド・トランプ大統領は、ツイッターで「“歴史上”最低視聴率のオスカー。問題は、もはやスターはいないということ──皆さんの大統領以外は(もちろん冗談)!」とコメント。これに対し、司会のキンメルはツイッターで「ありがとう、“歴史上”最低支持率の大統領」と返した。
イン・メモリアル(追悼)部門はジェニファー・ガーナーがプレゼンターとなり、2017年に死去したトム・ペティの楽曲「Room at the Top」をエディ・ヴェダーが披露した。この部門では、以下のアーティストをモンタージュで追悼した(以下登場順)。
『風と共に散る』でアカデミー助演女優賞を受賞したにもかかわらず、ドロシー・マローンが取り上げられなかった。このほかイン・メモリアル(追悼)部門においては、アダム・ウェスト、ビル・パクストン、デヴィッド・オグデン・スティアーズ、ロバート・ギローム、デラ・リース、ラドリー・メツガー、フランク・ヴィンセントが取り上げられなかった。
アカデミーのウェブサイトには、当部門に含まれなかった他のアーティストに焦点を当てたギャラリーがある。
公式ウェブサイト
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