![あらしのよるに あらしのよるに](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
『あらしのよるに』は、木村裕一による絵本の題名または同作を端緒とするシリーズ、およびそれらを原作として複数のメディアで展開された作品の名称。絵はあべ弘士。
1995年、第42回産経児童出版文化賞JR賞および第26回講談社出版文化賞絵本賞受賞。当初は第1作のみで完結する予定であったが、その好評を受けてシリーズ化され、第6作「ふぶきのあした」までが制作され、一度は完結した。しかし、その後も人気はとどまることを知らず、特別編「しろいやみのはてで」が制作され、さらに映画化を受けて、第6作の続編にして再びの完結編「まんげつのよるに」が制作され、ようやくシリーズの完結をみた。
シリーズ第1作は2000年に光村図書の小学4年生用の国語の教科書、2005年に大阪書籍の小学5年生用の国語教科書にも掲載された。
2005年、杉井ギサブロー監督の手によりアニメ映画化された。構成は絵本の7エピソードから成り立つ。英題は『One Stormy Night』または『Arashi no Yoruni』。興行収入は18.8億円。2017年7月時点で絵本シリーズの累計発行部数は350万部を記録している。 2007年、第30回優秀アニメーション作品賞受賞。
曇り空の下野原でヤギの親子が草を食べていた。それを知っていたかのように、オオカミの群れが近寄っていた。それを察知した母ヤギが顔を上げ、それに気付いた子供のヤギ(メイ)も顔を上げると、母は逃がすようにメイを押し始めた。しかし、オオカミの群れがメイ達を襲い始めた。母はメイを守るため立ち塞がり、オオカミの片耳を食いちぎったが、ついに食われてしまう。メイは泣きながら草原を走っていった。
それから数年たったある嵐の夜、立派に育ったメイが山小屋に避難した。同様に1匹のオオカミ(ガブ)も同じ山小屋に避難してきた。真っ暗な闇の中、かぜ気味で鼻の利かない2匹は、互いの正体を知らない(勘違いした)まま夜通し語り合い、意気投合する。そして「あらしのよるに」を合い言葉に、翌日再び会う約束をする。
翌日、2匹は互いの意外な正体を知ることになるが、喰う者(オオカミ)と喰われる者(ヤギ)の関係を超えて、2匹は「ひみつのともだち」となる。しかしそれは、互いの種族にとって、決して許すことのできない禁断の友情であった。ある時、ガブと逢う約束をしたメイに、友だちのヤギ(タプ)が心配だからと一緒についてくる。ガブにとってはメイは友だちだが、メイの友だちは美味しそうなエサである。結局、ガブがメイの友だちを脅かして逃がし、その場はことなきを得る。
しかしやがて、2匹の関係は、ヤギとオオカミのお互いの集団にバレてしまう。喧々囂々の末、互いの集団では自らの利益のためにメイとガブの友情を利用して、相手方の情報を手に入れてくるように2匹に命令する。メイとガブは、それぞれの集団内での立場よりも、お互いの友情を大切にして2匹で逃げることを決意し、ヤギとオオカミが一緒に暮らすことができる「緑の森」を探すため、目の前に広がる雪山の向こうを目指し旅立つ。その頃、オオカミの群れは自分たちを裏切ったガブを追いかけていた。
雪山を駆けていく2匹。ガブがメイを気遣って夜中だけ狩をしていたことで、1度険悪になった2匹だったが、和解してさらに強い絆で結ばれる。だが、追跡隊のオオカミの群れは少しずつ、確実に2匹を追い詰めていた。焦りと寒さに体力を削られ、もう歩けないと感じたメイは「自分を食べろ」とガブに頼む。泣く泣くその頼みを聞こうとしたガブだったが、そのとき既にオオカミの群れは間近に迫っていた。ガブは自らを囮にし、メイを助けようとしたが、雪崩が起きて群れもろとも巻き込まれてしまった。
春。メイは山を無事に越え、草原で暮らしていたが、いなくなったガブを思うと寂しくてたまらない。ある日、ガブが近づいてくるのを見て、喜んで近づいていくメイ。しかしガブは雪崩のショックで記憶を失い、今やメイもただのエサに過ぎなかった。ガブの豹変ぶりを嘆き悲しんだメイは「いっそあのあらしのよるに出会わなければ」と叫ぶ。その言葉がきっかけでガブの記憶は戻り、2匹は再び友情で結ばれたのであった。
講談社から発行。2006年3月現在、全7作。
2011年に開始された新シリーズ。従来のシリーズとは異なり、横長に製本されている。
日本国内の上演に限る。人形劇や影絵劇は含んでいない。
また関係団体が同じ再演については補足事項がある場合を除き省略している。
1996年、樂劇団いちょう座により初の舞台演劇が上演された。
1997年、演劇集団 円が子どもと大人が一緒に楽しめる舞台として毎年行っている「円・こどもステージ」の作品として上演。脚本は原作者木村祐一が自ら手掛け、舞台美術は絵本の絵を手掛けたあべ弘士が担当。2008年再演パンフレットには「絵本あらしのよるには演劇集団円によって育てられたといっても過言ではない。絵本3巻目は円の脚本と同時に書き、4巻目は舞台脚本が先に出来ていた」と木村祐一が寄稿している。出演は、南美江(メイの祖母)、金田明夫(メイ)、西凛太朗、高橋理恵子、ほか。この作品で木村祐一は第34回斉田喬戯曲賞、音楽の小森昭宏は日本児童演劇協会個人賞、団体としては厚生省児童福祉文化賞(厚生大臣賞(当時))を受賞している。
2004年、アオイスタジオ&ワンダー・プロダクションにより市原悦子ロードショーのひとつとして上演。出演は、メイ役は市原悦子、ガブ役は越村公一、ほか音楽担当のミッキー吉野も脇役として登場。再演時のタイトルは、市原悦子ドラマライブあらしのよるに。
1997年、演劇集団 スタジオライフによるミュージカル作品となる。フジテレビ・電通主催、獏エンタープライズ企画・制作の2007年版でも同劇団から数名キャスティングされ、ガブ役が山本芳樹、メイ役は吉野紗香が客演として出演。子供向けにと制作された舞台演劇が多かったが、今作は大人が堪能できる本格派ミュージカルを目的として、脚本・演出は横山由和により上演された。
2005年、劇団 俳協により上演された。
2019年、劇団さっぽろにより上演された。原作絵本や映画にも書かれていない設定を原作者の許可を得て盛り込んだようである。
同年、乙戯社により上演された。
1997年、 MBS主催の「おはなし夢ひろば」にて「あらしのよるに」「あるはれたひに」が朗読される。
2002年、舞台も公演した演劇集団 円により、その初演でメイを演じた金田明夫による朗読劇が上演された。
2004年、青二プロダクション主催の朗読劇『Voice Fair 2004』にて「あらしのよるに」と「あるはれたひに」が上演された。メイ役は三輪勝恵、ガブ役は松島みのり。
2006年、中井貴惠による一人語りと松本峰明のジャズピアノ演奏による音語りが上演された。のち、スタジオレコーディングしCD化されている。
2019年、アニメ映画でガブを演じた中村獅童による一人語りが上演された。
同年、朗読音楽劇として竹下景子の朗読とRaindropsによる楽器の生演奏が上演された。
2021年、千葉市美浜文化ホール主催事業「絵本朗読コンサート2021」にて、村山香月の朗読とピアノ五重奏の編成による生演奏で上演された。作曲は木村裕。きむらゆういち氏も来場し、演奏後に舞台挨拶を行った。
2022年11月9日 - 23日、通年なら歌舞伎や歌舞伎舞踊演目を上演する「松竹巡業公演」において、「中村獅童のHOW TOかぶき」という実演付き解説とともに「絵本 あらしのよるに 一人語り」と題した朗読劇を全国9都市にて開催予定 。
2015年、今井豊茂の脚本、藤間勘十郎の演出による歌舞伎作品として京都四條南座の「九月花形歌舞伎」で9/3~9/26(題名「新作歌舞伎 あらしのよるに」)。アニメ映画でもガブを演じた中村獅童が再びガブ役になる。メイ役は尾上松也。同作品は歌舞伎のすぐれた新作脚本に対して贈られる「大谷竹次郎賞」を受賞した。 歌舞伎版は、2016年に歌舞伎座、2018年に博多座でも公演されている。
さらに、2022年11月の松竹巡業公演では「絵本 あらしのよるに 一人語り」として中村獅童による朗読劇も開催予定(#朗読劇の節参照)。
2019年、日生劇場主催のイベント『日生劇場ファミリーフェスティヴァル2019』にて音楽劇が上演された。ガブ役は渡部豪太、メイ役は福本莉子。2021年の『日生劇場ファミリーフェスティヴァル2021』でも上演され、ガブ役は渡部が続投、メイ役は北浦愛に変更。
また、2019年は朗読劇の音楽劇も竹下景子の語りで催されている(#朗読劇の節参照)。
NHK教育「てれび絵本」で、「あらしのよるに」シリーズ6作が番組化されている。中村獅童が一人3役を演じる。2005年11月にDVD化されている。
映画版は、2005年12月10日に公開された。全国295スクリーンで公開され、12月10日・11日の全国週末興行成績(興行通信社)では観客動員が18万5800人、興行収入2億2589万円を記録し、3位発進する。観客層も幅広い世代を集めている。2006年1月の初めには観客動員数120万人を突破し、漫画が原作ではないアニメ映画では異例の大ヒットを記録している。最終興行収入は18.8億円。また、海外でも上映されることが決定し、まず台湾で2006年1月20日から55館で上映を開始する。ほかにもイギリス、韓国など世界26ヶ国での上映が予定されている。
DVDの発売日は2006年6月23日。スペシャル・エディションとスタンダード・エディションの2種類を発売。レンタルは2006年6月9日に開始された。
2007年4月8日にTBS系列でテレビ放送されている。
2007(第30回)日本アカデミー賞で新設された優秀アニメーション作品賞に選ばれた。
2012年4月4日から9月26日まで、テレビ東京系列水曜17:30 - 18:00(アニメ530第1枠)で『あらしのよるに 〜ひみつのともだち〜』として放送された。音声は日本語版と英語版の二つで放送。
多くのオリジナルエピソードやサブキャラクターが追加された一方で、物語自体はガブとメイが緑の森を目指して旅立つところで終了している。
日本語版 / 英語版 の順。
あらしのよるに、オオカミのガブとメイが小屋にて出会い、次の日一緒に昼御飯を食べる約束をして解散する。次の日、再開したときに両者がどういう立場なのか知ることになる。しかし、ガブはメイを食べなかったし、メイは逃げなかったので、一緒に昼御飯を食べるため?に丘の上まで一緒にいくが、ガブが崖から跳ぶさいに弁当を落とし、挙げ句の果てお腹が減りメイがごちそうに見えてくるようになる。結局、ガブはご飯抜きでメイが独りでご飯を食べているのを昼寝して待つのだった。その後もメイを食べることを我慢しているが、ふもとのところで我慢できなくなり、襲おうとするが、襲うことはできず再会の約束をした。
メイがいつも通りに群れから離れようとするが、ミイに見つかってしまう。しかし、なんとか言い訳して置いていく。その後、ガブと再会し、夕方ガブと「風のうた」を歌いながら群れに戻った。そのときにはミイが熱で倒れているという大惨事であった。徹夜でメイの看病をしたがミイの熱は下がらなかった。ある時、ヤギのおばさんが高熱に効く「水玉草」を言葉に出したことから発展しメイはその水玉草のある場所を知るが、そこはヤギには危険なバクバク谷の近くで、ヤギには行けるような場所ではなかった。しかし、ガブのすんでいるところがバクバク谷だということを思いだし、急遽ガブとの再開する。メイは当初自分で取りに行く予定であったが、バクバク谷から丸見えなので、無理だと知る。しかし、ガブが自分で取りに行くことを提案し、登ったこともない山を「何回も登った」といって、痩せ我慢しながらも水玉草を取りに行くために、挑戦する。苦労しながらもなんとか採取できたが、メイとは直接渡せず、間接的に渡すことになった。以降、ミイは元気を取り戻した。
ガブはメイと会う約束をしているが、狩の予定が入り狩りにいっていた。しかし、メイと会いたい一心で集中出来なかったのか、獲物は取れなかったため、ギロとバリに説教をくらった上、ザックとブッチに漫才ネタにもされるはめになる。一方、メイは長らく待っており、ガブはすぐに向かうが説教が心残りなのか、落ち込んだ状態での再会となる。メイはそれをすぐに察し、事情を話すように言われるが、「自分が下のオオカミに説教をした。」という嘘をついたので、メイが次のボスだと勘違いした。次の日も再会する約束をするに加えてメイは「遅れたら、絶交する」と言う脅し嘘を吹き付けたが、ガブはそれを丸呑みした。次の日、メイも説教をくらって遅刻する。一方、ガブはまた狩の予定が入り、バリーと一緒に行動することになる。その時、ギロと行動していたボロが遠くにいるメイを見つけてしまう。その報告を聞いたギロは全速力でメイのところに向かう。途中、ガブとバリーに追突していくも、気にせず通過していく。そのあとを追ってきたボロがガブとバリーに事情を話し事情を知ったガブがメイのために全速力でギロを追いかける。ギロを、追い抜くことをできたが、メイはすでにいなくて、絶交されたと思ってすごく落ち込んだ。夕方、待ち合わせ場所で落ち込んでたガブのところにメイが来てビックリしていた。結局、メイが「お互い忙しいから、遅れても、しょうがない」と言ったあとにウインクすることによってガブに笑顔を取り戻した。
メイが「風のうた」を歌い終わると、ガブの変な顔(メイが待ち合わせより遅れたため、ガブが昼寝をしてしまっていた。でも、メイはガブの顔で遊び、とても面白がってた。)を思い出し笑いした。群れに帰るとタプから説教をくらった。次の再会した日、メイはオオカミと一緒に歩いているのを見られないように、注意深く歩いていくなか、グミの実を見つける。その後ガブと一緒に食べるが、ガブが「木の実より肉の方が好き」と本音をこぼし、言論が始まる。その後ガブは「こっちの身にもなってほしい」と言ったのだが、メイは「じゃあ、なります。」と言い、オオカミの真似をしガブをヤギとしてみて、追いかけ回すようになる。
テレビアニメを劇場向けに再編集された『あらしのよるに 〜ひみつのともだち〜 シアターセレクション 〜出会い編〜』が、2012年11月10日より公開。キャッチコピーは「ともだちなのに、…おいしそう。」。
第2弾『あらしのよるに 〜ひみつのともだち〜 シアターセレクション 〜きずな編〜』は2013年2月2日に公開。キャッチコピーは「すがたかたちはちがうけど いつまでも一緒でやんす」。
『サウンドシアター あらしのよるに』のタイトルで、2006年12月22日に発売された。全体の構成はきむらゆういち自らが「決定版」と位置づけている小説版を元にしているが、一部原作(絵本)を元にしているシーンもある。初回生産分には特典として主要キャストによるフリートークCDが付けられた。
2005年12月22日にTDKコア(現クリエイティヴ・コア、但しゲーム事業は2010年より日本コロムビアが継承)より発売。対応機種・ニンテンドーDS。
合間に挿入されるミニゲームをクリアすることでストーリーを進める形式。ストーリーは原作に準じているが、パッケージのイラストやゲーム中の画像は映画版を基にしている。ミニゲームの点数によって結末が変わるマルチエンディング形式で、原作と異なる結末もきむらゆういち自らが監修することで、原作の雰囲気を損なわないよう配慮されている。
2008年11月1日にNHK東京児童合唱団で初演され、全音楽譜出版社から2009年6月15日に発売。 作詞はきむらゆういち、作曲は上田真樹。
収録曲
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