『蘭陵王』(らんりょうおう)は、田中芳樹による小説。蘭陵王と呼ばれた中国・北斉の皇族・高長恭を主題とした歴史小説。
また、2019年より桐嶋たける作画による漫画版がSOZO Comics(アメリカ合衆国ロサンゼルス)より電子書籍として刊行されている。
『蘭陵王』を執筆するに至った経緯を田中はインタビューで以下のように答えている。
幼いころ、三島由紀夫の短編小説『蘭陵王』の新聞広告を目にした田中は、三国志や水滸伝を読み始めた時期ということもあって、そのタイトルに興味を抱いた。大学生になった田中が『アジア歴史事典』(平凡社)で調べ物をしていたところ、蘭陵王の項目が目に留まり、実在の人物であったことを知った。仮面をつけて戦場に出た、非業の死を遂げたといった記述に好奇心を刺激され、正史である北斉書を読むようになる。正史に書かれていなかったら、出来過ぎと思えるくらいの魅力的な人物であり、いつか小説に書きたいと思うようになった。
蘭陵王に関して執筆された作品や小説があれば自分は一読者として楽しめるが、そういった作品は日本には存在していなかった。例えば、前掲の三島由紀夫の短編小説は雅楽の曲目である『蘭陵王』を題材にした現代小説である。田中はその後、小説家としてデビューを果たすが、蘭陵王の執筆は後回しとなって30年が経過する。文藝春秋の編集者の後押しがあったことで、ようやく執筆、刊行の運びとなった。
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