![国鉄DE15形ディーゼル機関車 国鉄DE15形ディーゼル機関車](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5d/DE15_Russel_in_Hokkaido.jpg/400px-DE15_Russel_in_Hokkaido.jpg)
国鉄DE15形ディーゼル機関車(こくてつDE15がたディーゼルきかんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が開発・設計・製造した中型液体式除雪用ディーゼル機関車(ラッセル式)。
ラッセル式除雪機関車としては1961年(昭和36年)にDD15形が登場していたが、除雪装置を装着した際の軸重が15.5トンとなるために、線路等級の低い丙線以下の線区には入線することが不可能であった。したがって、これらの低規格線区では、旧来からの雪かき車を機関車で推進して除雪する方式で行わざるを得なかった。
そこで除雪車両の高性能化と近代化をはかるため、DD20形をベースにし、ラッセル除雪装置を機関車に固定したDD21形が1963年(昭和38年)に試作されたが、除雪装置を装着したままでのローカル線運用や入換作業に不便があり1両のみの製造にとどまった。DD21形の欠点を是正し、DE10形をベースに開発された低規格線区に入線可能な除雪用機関車が本形式であり、1967年(昭和42年)から1981年(昭和56年)までの間に計85両が製造された。除雪時には機関車本体の前後に2軸台車を使用したラッセルヘッドを連結する。除雪期以外には停車場構内での入換作業や本線の客貨列車牽引にも使用されることを考慮し、ラッセルヘッドの連結解結作業は簡略化・省力化できるように設計された。
機関車本体の基本的な構造はDE10形とほぼ同じであるが、ラッセルヘッド連結のための装備が設けられている。ラッセルヘッドとは3か所の密着連結リンクで連結されるため、ナンバープレート部分中央の1か所と下部にある2つの後部標識灯(尾灯)の内側の2か所に密着連結リンクが装着されている。また、ナンバープレート中央部のそれには電気連結器が装備されたため、ナンバープレートは中央部分が分割されており、後部標識灯もDE10形に比べ外方に寄せて取付られている。なお、これらのリンクは取外し可能である。これらの装備によりラッセルヘッド車運転台から機関車の運転操作が可能となっている。
製造開始時は単頭式ラッセルヘッド(機関車の片側のみにラッセルヘッドを連結)で、折り返し時にラッセルヘッドの車体を台車の中心を支点に油圧で180度方向転換させて、機関車本体を反対側に連結する構造であった。そのため、側線を使って機関車本体の機回しをする手間を要した。ところが、終端駅の側線が雪で埋没することで方向転換不能に陥るケースやラッセルヘッドの回転スペース確保のため線路脇の除雪が必要となるなどの問題点が生じたため、その改善策として、1976年(昭和51年)からは両頭式(機関車の両側にラッセルヘッド車を連結)で製造された。また、ラッセルヘッド車の形状には単線形(進行方向の両側に雪を掻き分ける方式)と複線形(進行方向の左側に雪を掻き分ける方式)がある。
製造期によって一部仕様が違い、のちに改造による改番も発生している。
国鉄分割民営化時は北海道旅客鉄道(JR北海道)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)の4社に計84両が承継された。
2000年代以降は、保線要員のみで操作できるという簡便さや経費の面や簡易線乗り入れ規格にも入線可能な事から除雪用モーターカーが使用されることが多く本形式の稼働率は落ちており、余剰車の一部は日本貨物鉄道(JR貨物)に売却され、DE10形3000・3500番台に改造されている。
2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線長野 - 金沢間開業に伴い、JR西日本に配置されていた2両(DE15 1004・1518)が北陸新幹線の並行在来線である北陸本線の富山県区間を経営するあいの風とやま鉄道に譲渡された。JR以外の鉄道事業者でラッセルヘッドがついた状態のDE15形が運用される初のケースとなる。
JR北海道発足時点では36両が承継された。2021年(令和3年)4月現在では旭川運転所に12両が配置されており、冬季は全道の運転所・主要駅に配置され除雪作業に使用される。DE15 1520・2510を除く全機にグローバル・ポジショニング・システム (GPS) が取り付けられている。このGPSは、踏切や橋梁など除雪作業の障害となるものの位置を知ることにより、ウィング開閉などの作業をスムーズに行えるように導入されたものである。排雪作業を行わない春期から夏期に関しては、SL列車の補助機関車(補機)、SLおよび客車等の回送列車、臨時列車の牽引機として使用される。かつてはバラスト・レールの冷却水等散布に使われることもあった 。
なおJR北海道では、本形式の老朽化を踏まえ、JR東日本が使用しているENR-1000型をベースとした新型ラッセル車の開発を進め、最終的にキヤ291系気動車として2021年(令和3年)に導入を開始し、他にもDBR600形やHTR-600形・HTR-400形などの除雪用モーターカー併せてを導入している。
JR東日本発足時には33両が承継されたが、前述の除雪用モーターカーの使用や新型の大型除雪機械ENR-1000型の登場などにより、廃車が進行した。2009年(平成21年)4月時点では17両が在籍していたものの、14両が廃車され日本貨物鉄道(JR貨物)に売却された。JR貨物では、機関車本体部のラッセルヘッドとの連結機能を撤去し、DE10形3000・3500番台として使用している。2020年(令和2年)10月4日付で長岡車両センターに配置され保留車となっていたDE15 1538が廃車され、配置がなくなった。
JR東海発足時にDE15 1531・1541の2両が承継されて美濃太田車両区に配置され、高山本線および東海道本線大垣 - 米原間の排雪に使用された。2011年(平成23年)冬季の運用をもってDE15 1541はJR西日本金沢総合車両所富山支所に転属。2012年(平成24年)3月29日に美濃太田車両区から猪谷駅へ回送され、4月2日深夜から3日にかけて富山貨物駅へ回送された。DE15 1531は保留車として浜松工場に留置されていたが、2013年(平成25年)に入って解体された。これをもってJR東海の機関車はすべて消滅した。
JR西日本発足時には13両が承継された。2023年(令和5年)4月現在では金沢総合車両所富山支所に3両が配置されている。JR西日本では新型の除雪気動車キヤ143形の登場により順次置き換えられていく予定である。
JR北陸本線の富山県区間のJR西日本からの移管に際し、同社から2両(DE15 1004・1518)が譲渡された。
2020年(令和2年)度および2022年(令和4年)度にENR1000形を1両ずつ、計2両が増備され置き換えられた。
2023年4月5日えちごトキめき鉄道にあいの風とやま鉄道で置き換えが決まった車両1両が譲渡されている。 4月5日には譲渡に伴う回送が行われ、能生駅では撮影会が行われた。 4月8日から直江津D51レールパークにて公開されている。
秋田臨海鉄道には十勝鉄道から購入したDE10-1250と、JR北海道から購入したDE10-1251が在籍した。
DE10-1250は1976年(昭和51年)製の元DE15 1525で 、 承継したJR東日本青森車両センターで2008年(平成20年)に廃車されたのち 、 JR北海道苗穂工場でラッセルヘッドなどの除雪用機器を撤去の上、十勝鉄道に譲渡された。2012年(平成24年)5月に十勝鉄道が鉄道貨物輸送から撤退したことに伴い、同年11月に秋田臨港鉄道へ譲渡された(DE10-1250への改番時期は不詳)。
DE10-1251は1981年(昭和56年)製の元DE15 2526で、釧路運輸車両所時代には釧網本線の貨物列車や「DL冬の湿原号」の牽引 、「SL冬の湿原号」の補機も担当した 。 (「SL冬の湿原号」では、釧路転属前の旭川運転所時代にも川湯温泉駅延長運転で補機を務めている。) 。 2016年(平成28年)4月にJR北海道苗穂工場に入場 、 DE10-1250同様に除雪用機器を撤去し、秋田臨海鉄道には2016年(平成28年)12月に入線、運用を開始した 。
同社では、十勝鉄道から購入したDE10-1543(2014年〈平成26年〉3月入線)とともに使用された。
2021年(令和3年)3月12日の秋田臨海鉄道南線廃止を受け、DE10-1250は同年2月22日に運用を離脱、同月28日に輸送を開始し、3月1日付で仙台臨海鉄道へ譲渡された。
DE10-1251は5月1・2日に行われる「最初で最後の国鉄型ディーゼル機関車運転体験会」に使用された。その後、5月10日に西濃鉄道へ譲渡されることが発表された。海路および陸路で輸送され、同年6月22日に美濃赤坂駅に到着した。
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