玖珠郡(くすぐん)は、大分県(豊後国)の郡。
人口21,043人、面積557.97km²、人口密度37.7人/km²。(2024年6月1日、推計人口)
以下の2町を含む。
郡域
1878年(明治11年)に行政区画として発足した当時の郡域は、上記2町のまま変更されていない。
歴史
古代
太宰府出土の木簡に、「久須評」と書かれたものがあり、7世紀の評制時代の球珠郡のことと推定される。評が郡に改称したのは大宝元年(701年)である。
天平12年(740年)頃までに成立したとされる『豊後国風土記』において、豊後国の8つの郡のひとつとして球珠郡(漢字が現在の「玖」ではなく「球」である)が挙げられている。同書の球珠郡の条には、「昔此村有洪樟樹因曰球珠郡」と記されており、昔、この地に大きな樟があったことに因んで付けられたとされる。範囲は、概ね現在の玖珠郡全域にあたる。
また、承平年間(931年 - 938年)に成立した『和名類聚抄』でも、球珠郡とされており、今巳、小田、永野の3郷があったと記されている。
江戸時代
1803年の唐橋世済他『豊後国志』によれば当時の玖珠郡には郷四、山田、古後、帆足の4郷があり、村は麻生原(アソバル)、内匠(タクミ)、恵良(ケラ)、美良津、魚返(オカエリ)など合計81村(村54、支村27)。人口は約29,000人(石高29,333石)。特産品は砂金、明礬石、砥石、天麻(漢方薬原料のオニノヤガラ)等。
近世以降の沿革
- 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。(40村)
- 慶応4年閏4月25日(1868年6月15日) - 幕府領が日田県の管轄となる。
- 明治4年
- 7月14日(1871年8月29日) - 廃藩置県により、藩領が森県の管轄となる。
- 11月14日(1871年12月25日) - 第1次府県統合により、全域が大分県の管轄となる。
- 明治8年(1875年)(26村)
- 南大隈村・北大隈村が合併して大隈村となる。
- 下塚脇村・上塚脇村が合併して塚脇村となる。
- 瀬戸口村・中山田村が合併して山田村となる。
- 代太郎村・萩ヶ原村・魚返村が戸畑村に、木納水村・小引治村が引治村に、上旦村・下旦村が右田村に、見良津村が恵良村に、辻村・書曲村が松木村に、木牟田村が四日市村にそれぞれ合併。
- 明治11年(1878年)11月1日 - 郡区町村編制法の大分県での施行により、行政区画としての玖珠郡が発足。郡役所が森村に設置。
町村制以降の沿革
- 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。(7村)
- 森村 ← 森村、帆足村、日出生村、岩室村(現・玖珠町)
- 東飯田村 ← 恵良村、右田村、松木村(現・九重町)
- 飯田村 ← 後野上村、田野村、湯坪村、野上村(現・九重町)
- 南山田村 ← 町田村、菅原村、引治村、粟野村(現・九重町)
- 万年村 ← 塚脇村、大隈村、山田村、小田村、山浦村(現・玖珠町)
- 北山田村 ← 戸畑村、四日市村(現・玖珠町)
- 八幡村 ← 太田村、綾垣村、山下村、古後村(現・玖珠町)
- 明治24年(1891年)4月1日 - 郡制を施行。
- 明治26年(1893年)12月1日 - 森村が町制施行して森町となる。(1町6村)
- 明治29年(1896年)3月29日 - 飯田村の一部(野上・後野上)・東飯田村の一部(右田の大部分)が分立して野上村が発足。(1町7村)
- 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
- 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
- 昭和2年(1927年)4月1日 - 万年村が町制施行・改称して玖珠町となる。(2町6村)
- 昭和17年(1942年)7月1日 - 玖珠地方事務所が森町に置かれ、玖珠郡全域を管轄する。
- 昭和26年(1951年)1月1日 - 野上村が町制施行して野上町となる。(3町5村)
- 昭和30年(1955年)
- 2月1日 - 野上町・飯田村・東飯田村・南山田村が合併して九重町が発足。(3町2村)
- 3月1日 - 森町・玖珠町・北山田村・八幡村が合併し、改めて玖珠町が発足。(2町)
変遷表
行政
脚注
参考文献
- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 44 大分県、角川書店、1980年11月1日。ISBN 4040014405。
- 旧高旧領取調帳データベース
- 『玖珠郡志』。唐橋世済他『豊後国志』、1803年。
- 大庭脩・編『木簡 古代からのメッセージ』、大修館書店、1998年
関連文献
- 玖珠郡史編集委員会 編『玖珠郡史』1917年。https://books.google.co.jp/books?id=x5HHqtGxgywC。
関連項目
- クスノキ - クスという音韻を持ち、主産地が九州で、古墳時代から仏像や船材に使用された木。
- 邪馬台国 - 魏志倭人伝が記した倭国のクスノキ(櫲樟、柟)の産地。
- 玖珠町 - 亀都起古墳のある玖珠郡の町。
外部リンク
. Source: