ティレニア海(ティレニアかい、Tyrrhenian Sea)は、地中海の海域の一つである。チレニア海とも表記される。イタリア半島の西側に広がり、コルシカ島、サルデーニャ島、シチリア島に囲まれている。
イタリアの首都ローマ、斜塔で有名なピサ、風光明媚な海岸で有名なナポリを初めとして、イタリアの経済の重心が、このティレニア海側に集まっている。この海域では海底での火山活動が活発で、シチリア島の北のエオリア諸島にあるストロンボリ火山は地中海の灯台と呼ばれるほど見事な噴火をする。
この海と関わりの深い諸言語では以下のように表記される。
「ティレニア」の名前は、この海域の沿岸に位置するトスカーナ地方の住人であったエトルリア人を、古代ギリシア人が「テュレニア人」"Tyrrhenoi"と呼んだことに由来する。エトルリア人は、当時のギリシア人など他民族の人々に、リュディアから古代のイタリアへ移ってきた人々であると考えられていたが、一方でイタリアの地でもっとも早く文化を発達させた民族であり、交易の民であった彼らは、この地方の代表的存在でもあった。そんな彼らの活躍の場であったために「エトルリア人の海」と呼ばれるようになった。
ちなみに「トスカーナ」も、ローマ人が彼らを Tusci, Etrusci と呼んだことに由来し、前者が地名の語源として採られた。現在ではおおむね、トスカーナ地方はエトルリア人の先住地であったと考えられている。
国際水路機関(IHO)は、地中海の下位区分としてティレニア海を定義しており、その境界は以下の通り。
北はリグリア海と接続する。IHOの定義によれば、サンピエトロ岬(ラ・スペーツィア県ポルトヴェーネレ)からその南方の諸島を経てコルシカ島のカップ・コルスを結んだ線がその境界である。イタリア海軍水路機関 (it:Istituto Idrografico della Marina) はこれと異なる定義を行っており、トスカーナ州とコルシカ島の間のコルシカ海峡(幅約80km。エルバ島を境界に西側のみをコルシカ海峡と呼び、東側をピオンビーノ海峡と呼ぶこともある)を境界とし、これより以北をリグリア海(Mare Ligure)としている。
西の境界は、コルシカ島とサルデーニャ島の間のボニファシオ海峡(幅約11km)である。この海峡によって接する地中海の海域についてIHOは定義を行っていないが、サルデーニャ海とも呼ばれる。
西南の境界は、サルデーニャ島とシチリア島の間を結ぶ線で、その距離は約290kmである。ここで接続する地中海の海域についてIHOは定義を行っていないが、サルデーニャ島とアフリカ大陸の間の海はサルデーニャ海峡 (it:Canale di Sardegna) 、シチリア島とアフリカ大陸の間の海はシチリア海峡と呼ばれる。
東南にはシチリア島とカラブリア州との間のメッシナ海峡(幅約3km)によってイオニア海と結ばれている。
ティレニア海の主要な島としては以下がある。* はIHOの定義において境界を構成する島である。
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