![ザウルス ザウルス](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
ザウルス (Zaurus) は、シャープ株式会社が日本国内および海外で製造・販売していた携帯情報端末(PDA)の製品名である。
当初は電子手帳の発展型としてパソコン等との連携性は低かったが、のちに人気が出た結果この連携性を強化し、一時期の日本製PDAを代表する地位を築いた。「ザウルス」という愛称は、学名で「トカゲ」を意味する単語「サウルス」に由来し、力強さを表している。
日本国内向けの製品としては、1993年(平成5年)に発売された8ビットCPUとモノクロ液晶を使用した PI シリーズに始まり、32ビットRISC CPU とカラー(一部機種はモノクロ)液晶を使用した MI シリーズ、オペレーティングシステムにLinuxを採用したSLシリーズと、続々性能向上が図られている。ただし、シリーズ間の互換性は無く、全て他シリーズのソフトを動作させることはできない。
2002年11月に発売されたSL-C700には、製品として世界で初めてCG silicon システム液晶が使用された。
2004年11月に発売されたSL-C3000には、PDAとしては初めてハードディスクが内蔵された。
2008年12月13日に、2006年3月に発売されたモデルSL-C3200を最後に生産停止済と報道された。
スマートフォン時代を先取りしたかのような未来的なガジェットであったが、ザウルスの市場への投入はネットワーク環境やBluetoothなどの技術が整う前だったため、情報端末としてその後のスマートフォンの波に乗ることはできなかった。
Apple Computerと手書き認識の研究開発で協力し合い、アップルコンピュータがNewtonを開発、シャープは「ザウルス」を開発した。発売当初の正式な商品名は「液晶ペンコム」であり、「ザウルス」は愛称に過ぎなかった。
同PIシリーズは電子手帳の延長として発展したもので、前身のPAの型番を持つ同社の電子手帳シリーズで培われた小型化技術が用いられている。
シャープはザウルスシリーズを立ち上げる前に、手書き・ペン操作可能な電子システム手帳 PV-F1 を発売していたが、128,000円と高価でサイズが大きかった為、商業的には振るわなかった。その反省に立ち、大きさ、重さ、価格を半分に、処理速度を2倍にするという目標を掲げ、PI-3000を開発した。そして計画通りに小型軽量化、低価格化を成し遂げ、「液晶ペンコム」として売り出すと、ビジネスマンを中心にそのコンセプトが受け入れられ、同社の定番商品の一つとして認知されるようになった。
すべてタッチパネル付き反射型モノクロ液晶ディスプレイが採用されている。フロントライトは付属しない。解像度は239×168ピクセル、PI-8000のみ319×168ピクセルのワイド画面である。
CPUはメインにポケコンに用いられていた独自アーキテクチャの8ビットプロセッサESR-Lと、手書き文字認識用にZ80を使用している。Z80はタッチパネル制御と手書き文字認識のみを行い、これを区別することで全体の反応速度を向上させている。
ハードキーはなく、すべてスタイラス(ペン)によって画面に直接入力するか、表示領域外に配置されたショートカットキーを押すことで操作を行えるようになっている。手書き文字認識を採用しており、画面内の決められた枠内(画面下部の四つの枠)に文字や記号を書き込むことで入力を行える。かなを書き込んだ後に漢字変換を行うこともできる。また、ソフトウェアキーボードを使うこともできる。手書きメモやインクワープロなど、画面内の任意の領域に書いた軌跡をそのまま保存するアプリケーションも付属している。
外部機器とのデータのやり取りには、オプションポート4(主に同社の電子手帳)、オプションポート15(パソコンや携帯電話など)、光通信(赤外線通信)を用いる。光通信はASKのみであり、IrDAなど他の通信方式には対応していない。 同社の電子手帳用に開発されたICカードの一部を使うことができる(PI-7000を除く)。SRAMカードなどを用いることで他の機器とデータを共有できる。 アナログ電話回線に接続できるFAXモデムも使用可能である。PI-3000/4000シリーズはFAX通信のみ、PI-5000以降はデータ通信も可能。通信速度はデータ通信時2,400bps、FAX通信時9,600bps。PI-8000のみデータ通信時9,600bps、FAX通信時14.4kbps。別売りのPIAFSアダプタ使用の場合は32kbps。
電源は単4乾電池2本、バックアップ用にCR-2025 1個。
仕様は同社カタログによる。
特定顧客向けにPI-B304/B308がラインナップされている。型番はPIから始まるが、16ビットCPUとMS-DOSが採用される、C言語による開発環境が提供されるなど、他のザウルスシリーズとは一線を画す。
カラーザウルスMI-10に端を発する32ビット高機能PDA。PIシリーズとはソフト面での互換性はない。反射型液晶やLCフォントの搭載など「液晶のシャープ」をアピールする使命を帯びているようにも見える、シャープの特徴的な製品群だった。なお、MI-EX1のVGAポリシリコン液晶は東芝製である。
オペレーティングシステム (OS) に、株式会社アックス製のXTALをカスタマイズしたシャープ独自のZaurusOSを採用し、CPUには日立SH-3プロセッサを搭載。初期の製品では60MHz程度のクロックで、後期の製品では120/133MHz(SH-3DSP)のクロックで駆動していた。
MIシリーズに採用されていたZaurusOSは、軽快に動作し、心地よい使い勝手を実現していた。 ZaurusOS上で動作するアプリケーションは、ROMに記録されている標準搭載のものとMoreソフトと呼ばれる追加搭載可能なものの二種類に分類できた。標準開発言語はC言語。
独自OSながらMS-DOS互換のファイルシステムを持っていた。標準搭載のアプリケーションはファイルという概念を意識させない作りになっていたが、ユーザー製のMoreソフトを使用すればファイルを直接編集・操作することができた。また、内部的にはマルチタスクを実現していた。ただしシェルやインタフェースはあくまでシングルユーザー・シングルタスクであり、PCやSL-Zaurusのように自由に好みのアプリケーションをスイッチできたわけではない。
MIシリーズ半ばで登場したMI-E1はそれまでのビジネスマン御用達マシン路線を改め、縦型ボディにフロントライト付き反射型カラー液晶・SD/CFデュアルスロット・キーボード内蔵・マルチメディア対応(MP3/MPEG4再生)と、高機能なPDAの標準的なスタイルとなったフォームファクタをはじめて実現した革新的なモデルだった。恐竜を背中に背負った人々が街中で同機を操りエンターテイメントする印象的なTV-CMにより話題となり、PDAに縁のなかった人々の関心も引き寄せた。
その後、MI-L1、MI-E21、MI-E25DCと進化したが、Linux化されたSL-A300の登場をもってMIシリーズの新機種発売にピリオドが打たれた。
コンシューマ向けMIシリーズの系譜は以下の通り。他にビジネスザウルスが存在する。
海外版ザウルスに端を発するLinuxとJavaをベースとするPDA。PIシリーズ・MIシリーズとはソフト面での互換性はない。Linux搭載のザウルスであることから、「りなざう」と呼ばれることがある。
CPUにはARMアーキテクチャを採用し、OSにはPDA向けLinuxを採用する。
機種によりOSの名前は異なるが、初期のOSEmbedix Plus PDAが開発元の買収等を経て名前を変えていったものであり、実質同一ファミリーである。
SL-A300を除きCFスロットとSDスロットを各1個ずつ標準搭載する。SL-A300は標準でSDスロットのみで、SL-C3000/3100/3200は隠しCFスロットにハードディスクを搭載している。
また、SL-C860/SL-6000まで公式でオプションポート16を搭載する。SL-C1000/3000/3100はフラットな蓋で隠されている。
ユーザインタフェースにはGUIツールキットQtの組み込み用であるQtopiaを採用している。
QtではX11用のソフトが動かないが、pdaXrom、OpenZaurus、PocketWorkstation等の代替OSやQt上で動作するX/Qt Server等のX11サーバを用いる事でX11用のソフトも稼動する。これによりOpenOffice.org等のPC-Linux用ソフトを利用する事も可能である。
SLザウルスは当初、海外のみでの展開だった。開発環境としてはJavaおよびクロスコンパイラが用意された。
これらの機種においてフラッシュメモリはOS格納用の領域である。ユーザーデータはRAMに格納されるためバッテリが切れるとデータが消える。
国内展開初期はPocket PCやPalmの市場と競合する構成になっていた。これはMIシリーズとの競合を避けるためと推測される。
SL-A300ではフラッシュメモリはOS格納用の領域である。ユーザーデータはRAMに格納されるためバッテリが切れるとデータが消える。
国内でもMIザウルスに競合するSLザウルスが投入された。
これ以降はユーザーデータはフラッシュメモリに書き込まれ、RAMはワーク専用になった。
SL-B500と同等のハードウェアスペックをもつ海外版。
OSがOpenPDAに、JavaVMがCVMに変更された国内第2世代機種。
無線LANやBluetooth等を搭載したモデルもある。
オプションのCF拡張アダプターを利用する事でCFスロットの増設とバッテリの増強が可能。
OSをLineo uLinuxに変更しJavaVM標準搭載をやめた国内第3世代。
メイン基板にCFスロット2個を持ち(うち1個は隠しスロット)、CFタイプのハードディスクを搭載可能である。
非公式ながらUSBホスト機能を搭載している。
SL-6000シリーズにPocketPC 2003を搭載したモデル。
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