![嬉野市 嬉野市](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8c/Ureshino_Onsen_Siebold-no-yu.jpg/400px-Ureshino_Onsen_Siebold-no-yu.jpg)
嬉野市(うれしのし)は、佐賀県の西部に位置する市である。嬉野温泉と古い町並み塩田津が所在している。
ほぼ全域が周囲を比較的緩やかな山に囲まれた盆地で、東部の一部が白石平野に属する。
古墳時代、塩田町に古墳が分布するが嬉野町では古墳が未発見であるため、古墳時代当時塩田町において開発が進んでいたとされる。「国造本紀」によると葛津立国造の名が確認でき、嬉野市一帯は葛津立国と呼称されていたと推測されている。
奈良時代になると嬉野市域は鹿島市・太良町域とあわせ肥前国藤津郡となった。奈良時代に編纂された『肥前国風土記』には、塩田川に関する記述として「比川の源は、郡西南のかたなる託羅峯(たらのみね)より出て、東に流れて海に入る。潮の満時は、流れに逆いて沂洄る。流勢は太だ高し。因りて潮高満川(しほたかみつがわ)と曰う。今は訛りて塩田川と謂う。川源に渕有り、深さはニ丈で、石壁は嶮峻しく周匝は垣の如し、年魚(あゆ)多在り。また、東辺に温泉ありて、能く人の病を癒す。」とある。市内塩田町の地名の由来が、有明海の満潮時に塩田川の水位が高くなるという感潮河川の特性によることが分かる。また温泉は嬉野温泉を、渕は轟の滝を指すとされる。
鎌倉時代、元寇襲来の合戦勲章として「宇礼志野(うれしの)」氏の名前が見え、これが地名「うれしの」の初現とされる。なお、地名「うれしの」の由来として、三韓征伐の帰途、この地に立ち寄った神功皇后が、白鶴が湯浴みをして傷を癒した様子を見て、兵士を浸からせたところ傷が治り「あな、うれしの」と発言したとの伝説があるが、神功皇后以外に、高祖太子(『大定寺旧記』)や老婆(『豊玉姫神社の社伝』)が同様に発言した伝説もあり、これらは地名「うれしの」が「嬉野」の文字になった後、類推されたもので、地名「うれしの」とは無関係とされる。むしろ、地名「うれしの」は『万葉集』に多くの用例がある端・末端・先端部を意味する「末(うれ)」、意味を強める助詞「し」、塩田川の水源地帯にある「野」という意味から「末(うれ)し野」と呼ばれていたものが後に変化した地名とされる。
市役所は、人口が多かった旧嬉野町ではなく、旧塩田町におかれた。これは、対等合併前の合併協議会の中で、新しい自治体の名称に嬉野を使うならば本拠地(市役所本庁舎)は塩田町に置くことが合併の条件として協議が進められた経緯がある。また、旧塩田が先に村から町になったという歴史的経緯、加えて、旧嬉野町の役場がどちらかといえば老朽化していて、旧塩田町の役場が合併を基準日として直近に建て替えられ新しく、防災上有利な立場にあったことが影響した。なお、福岡県西方沖地震で旧嬉野町は震度5弱を記録した。
嬉野市から選出される佐賀県議会議員の定数は1議席である。
出先機関
観光業と農業が盛んで、米、麦類のほかに茶の生産が盛ん。
嬉野市は、同じ藤津郡でありながら、旧嬉野町は武雄寄り、旧塩田町は鹿島寄りと、まるっきり異なる性格を有していた。そのことが、通信・放送の分野にも現れている。
NTT西日本のMA(単位料金区域)も、旧町により別箇となっている。
鹿島MAの番号変更により、市外局番は市内全域で「0954」となったが、上記の通りMAが異なっているため、旧町域をまたいで電話をかける場合は、従来通り市外局番からかける必要がある。
市内には、NHK佐賀放送局とサガテレビが中継局を設置している。
福岡・熊本両県の民放については、有明海に近い旧塩田町の一部ではアンテナを設置して視聴できる地域があるものの、旧嬉野町を含む内陸部など大半のエリアでは直接受信不可。このため、旧町域ごとにケーブルテレビ局があり、市内の大半をカバーする。
旧嬉野町の一部では烏帽子岳 (佐世保市)からのVHF波が届くエリアもあり、テレビ放送開始初期はこちらにアンテナを向けていたエリアもあったようだが、アナログ放送終了やケーブルテレビの普及による福岡波視聴習慣の定着もあって需要は減っており、テレビ九州も長崎放送の再送信を取り止めた。
ラジオについては、FMは八幡岳親局からの放送を直接受信。AMは鍋島ラジオ放送所など周辺各地からの放送を受信する。
統計はすべて2010年10月1日の国勢調査のもの。
明治末期から昭和戦前期にかけては路面電車の肥前電気鉄道や軽便鉄道の祐徳軌道が嬉野町・塩田町町内を通っていたが、いずれも1931年(昭和6年)に廃止された。以来、両町内に鉄道はなく、嬉野市となってからも市内には長らく鉄道路線が存在しなかったが、2022年(令和4年)9月23日の西九州新幹線開業に伴い嬉野温泉駅が設置された。嬉野市内を鉄道路線が通るのは91年ぶりであり、史上初のJR鉄道駅となる。駅は旧嬉野町市街地の東端にあり、嬉野温泉街からは約1 km離れている。
嬉野温泉駅は西九州新幹線の単独駅であり、在来線は市内には通っていない。近隣の各路線へは長崎本線の肥前鹿島駅(鹿島市)、佐世保線の武雄温泉駅(武雄市)、大村線の彼杵駅(長崎県東彼杵郡東彼杵町)がそれぞれ最寄り駅となる。
なお、新幹線の駅があり在来線の駅がない市町村は、当市と青森県上北郡七戸町(東北新幹線七戸十和田駅)の2箇所のみである。
以下の各社が運行している。なお「嬉野バスセンター」は旧嬉野町中心部、「嬉野市役所塩田庁舎前」は旧塩田町中心部にある。
(上記以外のもの)
★は故人
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