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速水 奨(はやみ しょう、1958年8月2日 - )は、日本の声優、俳優、歌手。兵庫県高砂市出身。Rush Style代表・所属。
妻は同じく声優の五十嵐麗、甥(現養子)は声優の速水秀之。
兵庫県高砂市出身。男3人兄弟の末子として生まれる。
父は沖縄県出身で、戦時中は少年飛行兵に志願していた県庁の納税係の公務員。2人の兄は教師、サラリーマン。
高砂市にあった生家は県営住宅であり、50坪の土地に井戸を囲む形で並んでいた4軒の平家の1軒に住んでいたが、速水が生まれる前に買い取って持ち家にしていたという。
幼少期は兄達に連れられて山、川を駆け巡って、擦り傷だらけだった。
小学校(高砂市立阿弥陀小学校)時代は神童と呼ばれていた長兄の七光りもあって、低学年の頃から一目置かれていた。小学校の6年間から中学3年生まで一学期の学級委員長を務め、学芸会の主役などに抜擢されていた。当時は2人の兄が委員長になっていたため、おこぼれにあずかったという形で、怖いものがなかった。しかしどこかで兄達の力を頼っていたようだった。
好きだった課目は国語で、本を朗読すること、喋るのが好きでだったため、「なんとか僕を当ててくれないかな」と教師を見ていた。アナウンサーになりたいと思っていた時期が結構長かったという。
小学校6年生で健康優良児として表彰される。1972年のミュンヘンオリンピックで金メダルを獲得した男子バレーボールに憧れて、中学(姫路市高砂市中学校組合立天川中学校)時代はバレーボール部に所属してエースアタッカーとキャプテンを務める。ほかにも園芸クラブと郷土史研究クラブにも所属していた。高校(兵庫県立加古川東高等学校)でも1年目はバレーを続けたが、身長が伸び悩んだことで退部した。
そのころ、地元で行なわれた西田敏行主演の青年座の舞台『写楽考』を観劇して感銘を受けたことから、高校1年生の終わりに先輩に誘われて演劇部に入る。高校時代の芸能鑑賞会で能楽作品の『隅田川』を観ていたことも大きかったといい、中学時代の国語の授業で、狂言師が朗読をしていた中島敦の『山月記』を聴いて、声で表現する面白さを知ったことも伏線になっていたと語り、活動の原点は、声による表現を重視した古典芸能への興味にあったという。もう一つの原点は幼い頃のごっこ遊びで、テレビで観ていたテレビアニメ『鉄腕アトム (アニメ第1作)』、プロレス番組の影響で友人と別人になり切ってストーリー仕立てで遊ぶことをしており、「同じようなことを、今も仕事でやっているな」と感じることがあるという。「高校時代の目標はありましたか?」という質問に対して、「大学に進学して本格的に演劇を勉強したいな」と思っていた。「劇団へ入ろうとは思わなかったんですか?」という質問に対しても、「大学の演劇科に進学して、もう少し芝居の勉強をしてから」と思っていた。しかし高校3年生の時に焦ってしまい、「今やるしかない」と思い始めた。高校3年生の2学期から「演劇をやるために東京に出よう」と決心して、資金作りで果物屋で店員のアルバイトを始め、当時は登校するのは店の定休日だけという状態だった。アルバイトで得たお金は、上京のための資金にあてるつもりで、「このままここにいれば、それはそれで平和な一生が過ぎていくんだろうな」と思っていたが、新しい自身を見つけたかったという。高校卒業後は、東京の叔母を頼って親からは勘当に近い形で上京し、昼は貿易会社で働き、夜間に青年座研究所で芝居を学ぶ生活を送る。半年後、日下武史に憧れて劇団四季へ移る。同期には榎木孝明がいた。東京での初舞台は35歳の映画のプロデューサー役で、朝加真由美が同期で相手役を演じていた。
劇団四季がミュージカル路線に切り替わりつつあり、演劇から気持ちが離れて3年で退団し、東京都台東区上野で始めていたウェイターのアルバイトに励んでいた22歳のころ、たまたま雑誌『ぴあ』でニッポン放送主催の「アマチュア声優・ドラマ・コンテスト80」を知り、副賞の賞金10万円に惹かれて応募する。1980年10月10日、同コンテストのグランプリを受賞したことを切っかけに声優デビュー。ニッポン放送のラジオドラマ『超人ロック〜コズミックゲーム〜』や、ニッポン放送も関係したアニメ映画『1000年女王』などに出演した。本人はこの仕事を始まる前はアニメはまったく観ておらず、アフレコのマイクの前でどうやればいいかも知らなかった。
1982年、『機甲艦隊ダイラガーXV』の出雲タツオ役で初めてのレギュラー出演し、初めて受けたオーディションで合格した『超時空要塞マクロス』のマクシミリアン・ジーナス(マックス)役を好演し、後番組『超時空世紀オーガス』では自身初の主人公役を演じる。そのほかのロボットアニメ作品でも、二枚目役や美形ライバル役に起用されて人気声優となる。また、CMやテレビ番組のナレーションも多数受け持つ。OVA版『デビルマン』や『勇者エクスカイザー』が声優活動の転機となり、正統派のイメージとはギャップのある役柄も演じるようになる。また、乙女ゲームの草分け的な「アンジェリークシリーズ」など、女性向けコンテンツでも支持を広げる。1990年代前半より個人名義やユニットでの歌手活動なども行っており、2003年より自身がプロデュースする『S.S.D.S. 〜Super Stylish Doctors Story〜』を各メディアで展開している。
劇団四季(初期)→飛鳥企画→ぷろだくしょんバオバブ→大沢事務所→青二プロダクション→大沢事務所を経て、2014年2月1日からフリーとなる。これに先立ち2013年10月には声優&アーティスト事務所「Rush Style」(ラッシュスタイル)を立ち上げ、その代表に就任。2014年10月よりRush Styleの業務が本格的に始動したのを機に、妻の五十嵐麗や新人の高沢柚衣が同社に移籍し、同時に自身のマネージメント業務も委託した。2017年4月には事務所付属の養成所「RSアカデミー」を開所した。
デビュー40周年の節目となる2019年は、若手声優らとラップに挑戦した『ヒプノシスマイク』が第13回声優アワードにて歌唱賞を受賞。Rush Styleの教え子で、『ヒプノシスマイク』でも共演する野津山幸宏とお笑いコンビ「ラッシュスタイル」を組んで「M-1グランプリ」予選に出場し、1回戦を突破したものの2回戦で敗退した。
2020年、『仮面ライダーゼロワン』で特撮作品に初出演した。
小学校5年生の冬休みに1週間声が出なくなり、そのあと1オクターブ低い現在の声に声変わりした。その声は自分の父親の声とそっくりだという。速水と新人時代から仕事をしている河森正治は「その声には、華があり、艶があり、秘密がある」「作品世界に、広がりと、大いなる高みと、底知れぬ深みをもたらす声」と形容している。小川びいは「女性をとろけさすような甘い声が魅力」と評している。
演じる役は、二枚目の美形キャラ、主人公のライバル的な役、美形悪役を演じることが多いが、敵味方問わず重要な役割を演じることも多い。
兵庫県出身で、演技でも『トライガン』のニコラス・D・ウルフウッド役や『龍が如く7』の石尾田礼二役などで関西弁を用いるケースがある。昔は関西弁がイヤでたまらず、標準語に憧れていたが、友人同士で標準語を喋っていると「ええカッコしい」と言われ、差別された程だった。
『トランスフォーマー』シリーズのアイアンハイドやウルトラマグナス、『勇者エクスカイザー』のエクスカイザー、『伝説の勇者ダ・ガーン』のダ・ガーンやガ・オーン、『からくり剣豪伝ムサシロード』のジュウベエなど、正義のロボットヒーローを多数演じている。なお、『勇者エクスカイザー』のDVDボックスでは自身を「色気あるロボット声」と称している。速水は『トランスフォーマー』のときはスケール感や力強さ、『エクスカイザー』や『ダ・ガーン』の際は「もっと意外性を持たせたい」という思いからヒューマンな部分を盛り込んで演じ、子供に違和感を抱かせない演技を心がけていたという。
出演作のイベントではアドリブを連発して、共演者を翻弄する一面も見せる。
初期の出演作には本名の「大浜靖」名義でクレジットされている。芸名の姓を「速水」としたのは、もともと「はやみ」という言葉を使いたかったためであり、「『ガラスの仮面』の速水真澄が由来」という通説は正解ではない。「奨」は姓名判断で選んだ。
演技にあたっては作品の台本を(原作つきのメディアミックス作品の場合は原作も)読み込んで、自身が演じるキャラクターを研究しているという。
2006年に亡くなった義姉の子供で、甥に当たる声優の速水秀之を養子に引き取った。
特技は謡曲。趣味は料理、アンモナイト鑑賞、飼い猫と遊ぶ。
自宅では「カイザー」という1匹のオス猫を飼っており、自身のブログではたびたび登場している。カイザーは体重が6キロ(記載当時)だったが、2015年2月時点では12キロにまで太ってしまった。名前の由来は「面構えが皇帝っぽかったから」で、自身が演じた勇者エクスカイザーとは無関係、しかし無意識に「カイザー」という響きが刷り込まれていたかもしれないとも語っている。
毎朝自分で作っている味噌汁にはこだわりがあり、自身のTwitterに写真をアップしていた。
好きな言葉は「信念」、「やすらぎ」。
森川智之と檜山修之のトークイベント『森川智之と檜山修之のおまえらのためだろ!』にゲスト出演した際に扮した医者「Dr.HAYAMI」を気に入り、Dr.HAYAMIが主人公のギャグドラマCD『Super Stylish Doctors Story(S.S.D.S)』シリーズの原作・脚本を自身プロデュースで手がけ、ゲーム版『GAME S.S.D.S. 〜刹那の英雄』までも作ってしまった。また、Dr.HAYAMI名義でキャラクターソングの作詞もしている。医師役には森川と檜山(ナースのトシ子・ノブ子も担当)や、関俊彦や堀内賢雄など過去に共演した声優が出演しており、楽屋ネタやパロディをふんだんに盛り込んでいる。森川とは同じ横浜DeNAベイスターズファンという共通点もあり、2022年よりニコニコ動画において『森川智之&速水奨の横浜DeNAベイスターズ応援チャンネル ~モリモリSHOWTIME~』というベイスターズ愛を語ったり、ベイスターズ戦の実況をするチャンネルを開設している。
RSアカデミーの開所以前は、妻の五十嵐と共にドワンゴクリエイティブスクール(現SAY YOU LAB)で後進の指導にあたっていた。彼らに技術などを教える際、自分がこの道を目指したころの初心に戻れるという。女優・歌手の神田沙也加は速水の教え子で、『しゃべくり007』で神田がゲスト出演した際にサプライズで登場した。
お笑いコンビ「ラッシュスタイル」を結成したきっかけは、2018年秋の事務所の新人発表会で野津山幸宏が「漫才をやりたいと」と言い出したが相手がおらず、速水が名乗り出たことから始まる。もともと関西出身で松竹新喜劇や古典落語が好きだったが、「声の仕事をしているという部分で、自分たちの可能性を追求するつもりで、真剣にやってみよう」とM-1挑戦を決意した。このニュースを正式発表すると、Twitter上で「速水さん」がトレンド1位になるという反響があった。
幼少期から仮面ライダーシリーズを愛好しており、平成仮面ライダーシリーズも『仮面ライダークウガ』から観続けている。『仮面ライダー電王』に出演していた関俊彦がそのキャラクターのセリフで歓声を浴びていたことを羨み、自身でも出演を希望するようになった。『ゼロワン』以前にも仮面ライダーシリーズで出演候補に挙がったことがあったが、実現には至らなかった。
かって準レギュラーだったNHK第一放送のラジオ番組『徳井青空のあにげっちゅ!』では誕生日記念に河森正治監督から直々にマクシミリアン・ジーナスが乗ったバルキリーの玩具(おそらくDX超合金だと思われる)をプレゼントされた。
太字はメインキャラクター。
※はインターネット配信。
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