宮崎空港線(みやざきくうこうせん)は、宮崎県宮崎市の田吉駅から宮崎空港駅とを結ぶ九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(幹線)である。本路線に日豊本線宮崎駅 - 南宮崎駅間と日南線南宮崎駅 - 田吉駅間を加えた宮崎駅 - 宮崎空港駅間に「空港線」の愛称が付けられている。
宮崎空港付近を通る日南線から分岐し、宮崎空港旅客ターミナルに直接乗り入れる空港アクセス路線として建設され、JR発足後の1996年に開業した。同時に日南線分岐点付近には田吉駅が再開業し、本路線の起点となる。日南線との共用区間・分岐付近を除いて、踏切が存在しない。
本路線には加算運賃(130円)が適用されている。なお、本路線ではICカード「SUGOCA」の利用が可能である。
また、一般向けリアルタイム列車位置情報システム「どれどれ」の利用ができる路線であり、スマートフォンアプリ「JR九州アプリ」で宮崎 - 宮崎空港間のリアルタイム列車位置情報が提供されている。
路線長は1.4 km(営業キロ)と短く、2024年時点で、JR線の中で最短である。なお、本路線の開業前は新湊線(当時全長3.6 km、貨物線)、旅客営業を行う路線では桜島線(JRゆめ咲線、当時全長4.0 km)が最短路線であった。
実は宮崎空港に駅ができるのは当線の宮崎空港駅が初めてではなく、宮崎交通鉄道部が運営していた宮崎交通線の駅として1954年から廃線となる1962年まで飛行場前駅(当時は宮崎飛行場と称されていた)が存在した。その後宮崎交通線の赤江(現・南宮崎) - 内海間は国鉄日南線の建設に利用されたが、ルート変更に伴い飛行場前駅は廃駅になった。そのため、34年振りに飛行場前駅が復活したとも言える。
全線宮崎支社の管轄である。
開業以来、線内折り返し列車の設定がされたことはなく、全列車が日南線南宮崎・宮崎駅方面に直通する。普通列車1往復が南宮崎駅発着である以外は日豊本線経由で宮崎駅まで直通しており、すべての特急列車と半数以上の普通列車はさらに同線延岡駅方面に直通している。
南宮崎駅で方向転換が必要となる都城駅・鹿児島中央駅方面への直通運転は行われていない。車両は日豊本線と同じ電車が運用されており、田吉駅以南が非電化である日南線青島駅・油津駅方面で運用される気動車は乗り入れない。
一見して典型的な空港アクセス鉄道ではあるが、後述する過去の経緯から宮崎市街地よりも旭化成の工場が存在する延岡への中距離輸送に重きが置かれており、特急列車の運行が主体である。なお、宮崎市街地へは本数面で路線バスが優位である。
大分駅・延岡駅方面と宮崎地区を結ぶ特急列車は、早朝・深夜に運転される「にちりん」2・6・19・21号、「ひゅうが」3・5・16・18号を除き宮崎空港駅を始発・終着駅としている。宮崎空港駅から延岡駅までは約1時間25分、佐伯駅までは約2時間半、大分駅までは約3時間半である。なお、宮崎空港駅発着の特急は田吉駅には停車しない。
宮崎空港線の開業当時はすべての特急列車が博多駅または小倉駅発着であったが、2021年3月13日現在は博多駅発着の「にちりんシーガイア」1往復および小倉駅発着の「にちりん」1往復を除いて大分駅および延岡駅発着とし、大分駅発着の列車に関しては同駅で博多駅発着の「ソニック」と接続する形を取っている。
2020年10月17日より、周遊型観光特急「36ぷらす3」が運行開始し、土曜日運行分『緑の路』が当線の宮崎空港駅始発となっている。
なお、ここでの本数は宮崎空港駅発着分のみを示しており、「にちりん」「ひゅうが」については宮崎駅・南宮崎駅発着の設定もある。
宮崎駅 - 宮崎空港駅間のみで特急列車に乗車する場合、普通車自由席に乗車券のみで乗車できる特例が設けられている(なお、この区間で指定席やグリーン車に乗車する場合は、指定席券あるいは普通列車用指定席グリーン券が必要であり、これらの券を駅窓口または車内で発売している)。他の区間と跨いで乗車する際は特急料金は特例区間外のみで計算される。この特例は南宮崎駅から日豊本線都城駅方面に直通する特急「きりしま」、田吉駅から日南線日南方面に直通する特急「海幸山幸」(この列車は田吉駅に停車する)、南宮崎駅発着の特急「にちりん」「ひゅうが」に関しても、特例区間内であれば適用される。なお、「36ぷらす3」でも空席があれば「36ぷらす3」用グリーン券を購入することで宮崎駅まで乗車できる。
普通列車も南宮崎駅および宮崎駅、さらに一部の列車は延岡駅まで直通運転するが、前述の通り宮崎駅 - 宮崎空港駅間は乗車券のみで特急列車の普通車自由席に乗車できるために普通列車独自で本数を確保する必要はなく、絶対的に多く設定されていない。このため青島・油津駅方面との接続に関しては、田吉駅でかなりの時間待たされる場合がある。また、かつては快速列車が運行されていたが、2015年6月20日時点では運行されていない。
なお、日南線・日豊本線内の運行形態についてはそれぞれの項目を参照のこと。
全区間が電化されているため全列車が電車で運用されているが、開業以来運用されていなかった気動車については2006年に臨時列車として特急「はやとの風」用キハ140形が運転された。これは宮崎地区における初めての入線である。
2011年3月12日より、485系に代わって、787系が使用されている。なお787系は開業以来2000年3月10日まで乗り入れており、11年ぶりに入線を果たしている。過去には885系の乗り入れ実績もある。2000年3月11日から2021年3月12日までは783系も乗り入れていた。
延岡市に創業地工場群を持つ旭化成は、本社のある大阪市、東京都区部との間で社員の出張が多いが、宮崎・延岡間は当時、鉄道は空港とつながっておらず、高速道路もなかった。そのため、旭化成は自社ヘリポートを用意し、延岡工場と宮崎空港間を25分で結ぶヘリコプター航路を1989年(平成元年)3月に開設した。この航路は年間1万5千人の社員と、6,000人の訪問者を運ぶ予定であったという。
ところが1990年(平成2年)9月27日、宮崎空港から延岡ヘリポートに向かっていた社内定期便が墜落し、乗員乗客全員が死亡する事故が発生した(阪急航空チャーター機墜落事故)。これによりヘリコプターの運航を断念、日豊本線の高速化や空港至近を通る日南線の空港アクセス活用の気運がにわかに高まった。
便宜上、愛称である「空港線」としての起点となる日豊本線宮崎駅からの区間を記載する。累計営業キロは田吉駅からのもの。
平均通過人員(輸送密度)、旅客運輸収入は以下の通り。
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