株式会社テレビ西日本(テレビにしにっぽん、英: Television Nishinippon Corporation)は、福岡県を放送対象地域としたテレビジョン放送事業を行っている特定地上基幹放送事業者である。
FNN・FNSの基幹局の1つで、フジテレビ系列の中では最も古い歴史を持つ。ただし、開局当時からフジテレビ系列であった訳ではない(後述)。
略称は「TNC」、現在のキャッチコピーは「ピタッと。TNC」。その前は、「ロックに。自由に。TNC」。このキャッチコピーの下に、60周年の2018年(平成30年)は「60th Anniversary」、2019年(平成31年/令和元年)は「〜ねぇ、今日何みる?〜」、2020年(令和2年)は「アツアツ8チャンネル」が付加されている。当初は開局60周年のメッセージテーマとして設定され、テーマジングルを山下達郎が担当していた(ジングルに関しては2021年(令和3年)7月現在も引き続き使用)。2019年(平成31年/令和元年)は武田鉄矢が、2020年(令和2年)は岡澤アキラがイメージキャラクターを勤めている。開局50周年から2015年(平成27年)6月までの一時期は「テレ西」という愛称を用い、福岡ヤフオク!ドームレフト内野側のフェンスには「テレ西」と書かれた広告を出していた。2018年(平成30年)3月までは「どうした?TNC(仮)」を使用していた。
現在の局舎(TNC放送会館)の所在地は、TBSテレビ系列(JNN)のRKB毎日放送と同じ街区番号内(TNCは3番2号、RKBは3番8号)であり、主たる送信所である福岡タワーにも隣接している。
地上デジタル放送のリモコンキーIDはキー局のフジテレビジョンを始めFNN系列のほぼ全ての局で使用されている「8」。またアナログ親局が1桁のFNN系列5局のうち、テレビ西日本は唯一アナログ親局をリモコンキーIDへ引き継がなかった。主な理由としては、地上デジタル放送のリモコンキーIDにおいて「9」があまり一般的ではない、FNN系列フルネット局は極力「8」に統一される方針であった、創業地である八幡と「8」をかけた、等がある。
局名の頭に「テレビ」を付けた国内初の民間放送局。また在福テレビ局で唯一、社名に「放送」が入らず「テレビ」が入っている局でもある。
コールサインは福岡局がJOJY-DTV(34ch/3kW)、北九州局のかつての地上アナログ放送がJOHX-TV(10ch/映像:1kW 音声:250W)。なお、中継局のコールサインは地上アナログ放送のみで、地上デジタル放送には割り当てられていない。FNN系列で中継局にもコールサインが割り当てられていた放送局は、地上アナログ放送終了時点で当社とテレビ静岡の2局のみであった。なお、福島テレビも中継局にコールサインが割り当てられていた時期があった。
TNCは当初、朝日新聞社や日本テレビ放送網(NTV)の資本が入っていた。これは多くのテレビ免許競願を1本化した為で、免許は北九州広域地方をエリアとして、同じく朝日新聞社の資本が入った九州朝日放送(KBC)と将来合併する事を条件に与えられた。ネットワークは資本の関係から日本テレビ系列(NTV系)となった。
しかしながら、同じくNTV系の山口放送(KRY)も北九州広域地方進出の機会を窺っていた。こうした状況の中で、TNCから朝日新聞社が撤退。KBCとの合併を撤回した。逆にKBCと相図って、お互いのサービスエリアへ進出する事に成功した。こうして全県で視聴可能となった矢先、KRYがNTVの後援を得て、関門テレビ局を開局した。
NTVの株主である読売新聞社が北九州で新聞の発行に踏み切った事で、TNCの筆頭株主である西日本新聞社の逆鱗に触れることとなった。更に、TNCとKBCの相互乗入れ実現に同じ毎日新聞社系という事で合併させられたRKB毎日放送(RKB、ラジオ九州と西部毎日テレビジョン放送)側に不満が発生して、同社株主を中心にUHF新局設立への動きと繋がり、これに読売・日本テレビ連合が資本参加をする動きが出てきた。
TNCと西日本新聞社はこの一連の動きを看過ごす事が出来ず、日本テレビをキー局とし続けるよりも再三フルネットの勧誘を受け、西日本新聞社と協力関係にある産業経済新聞社(産経新聞社)をグループとするフジテレビ系列に鞍替えした方が得策であると判断。1964年(昭和39年)、一部のスポンサーの反対を押し切って、ネットチェンジを決行。以降、TNCはフジネットワークの基幹局の1つとなっている。
『そして、フジネットワークは生まれた 日本有数のネットワーク、成長・発展の時代から挑戦の日々へ』(境政郎著・扶桑社)では西日本新聞社がブロック紙連合構想で産経新聞社との関係を深め、その動きの中でフジテレビがテレビ西日本に『三匹の侍』のマイクロ同時ネットを打診。TNC社長(当時)の田中斉之を中心とした経営陣がこれに応じた所、日本テレビの専務がTNC本社に乗り込んで「絶対に認められない」と抗議したが田中が抵抗して同時ネットが行われ、ネットチェンジへの端緒となった。田中の学友だった尾崎士郎が産経新聞・フジテレビ社長(当時)の水野成夫とも盟友関係であり、尾崎の仲介で水野と田中が関係を深め、「九州朝日放送との関係は良好だが、朝日新聞主導なのでフジテレビが主導権を握るのは難しく、テレビ西日本と組む方がフジテレビの将来にとって益が大きい」と水野が判断した経緯が記述されている。
キー局のフジテレビが「ウチは新聞系列ではない」と各地の新局を誘ったこともあって、昭和40年代、全国各地にUHFテレビ局が次々と開局した際、TNCは西日本新聞社とともにいち早く、西日本新聞社エリア内各県のテレビ局をグループ化することに成功した。結果として九州に多数、フジ系をメインとする局(全ての県に系列局がある。特に現在こそサガテレビ(STS)・テレビ熊本(TKU)・テレビ長崎(KTN)・鹿児島テレビ放送(KTS)はフジテレビ系列フルネット局であるが、当初は複数ネット受けの放送局も多かった。そのため、テレビ宮崎(UMK)も先述の4局同様FNS単独加盟局ではあるが、開局当初から現在に至るまで、フジテレビ系メインで日テレ・テレ朝とのトリプルネット局であり、現在は日本テレビ・フジテレビとのクロスネット局であるテレビ大分(TOS)も開局当初は日テレ・フジ・テレ朝のトリプルネット局だった。)が誕生することとなった。ニュースの共同企画や西日本新聞社主催の金鷲旗高校柔道大会・玉竜旗高校剣道大会の九州・沖縄エリアネット中継などで、ブロック内の連携を保っている。
系列外の放送局は熊本県民テレビ(KKT)(日本テレビ系列局(3.15%))、鹿児島放送(テレビ朝日系列局(5.50%))に出資している(何れも2021年(令和3年)現在)。
かつてはソウル(1971年-1981年、その後フジテレビの支局)、ボン(1981年-1994年、その後閉鎖)にも支局があった。ボン支局の続特派員はベルリンの壁崩壊直前のベルリンで厳重な監視の中で取材を行い、さらに当局の目をかいくぐって取材テープを支局に届け、歴史的瞬間の独占スクープに成功している。また、名古屋市と久留米市にも支局が存在したほか、高宮本社時代は西日本新聞会館に営業部門が存在した。さらに北九州本社時代は福岡支社が存在した。
出典:
企業・団体は当時の名称。出典:
福岡局が県内全体を統括する親局となっている。
スタジオは放送会館西側の低層棟4 - 5階に位置する。
※2023年4月現在。製作局の表記のない番組はフジテレビ制作。
ほか多数
特記のないものはテレビ東京製作、☆印はTVQ開局で移行
1981年(昭和56年)、宝塚歌劇団の麻実れい、遥くららによるイメージソング、「心に翼をつけよう」がリリースされた。作詞・岩谷時子、作曲・桑原研郎、編曲・松井忠重。高宮本社時代の放送開始・終了時の音楽に使用された。 1984年(昭和59年)に、当時まだ無名だったTM NETWORKの「FANTASTIC VISION」がイメージソングとして取り入れられた。放送開始・終了IDなどで使われていた。35年以上が経った2021年(令和3年)現在でも天気予報のBGMでこのインストゥルメンタル・アレンジ版が流れている。しかし、夜の天気予報は番宣を兼ねたものが多く、BGMとして使われている枠は限られている。メロディーラインのない「インストのカラオケバージョン」も存在している。また、スタジオツアーズのCMでは歌入りのBメロが使われたこともあった。かつて放映されていたTNCスーパータイムの冒頭でもこの曲が使用されていた。
アナウンサーは全員、アナウンス部所属(2012年から。かつてはスポーツ部や報道部にも所属し、それぞれの仕事に携わっていた)。※は福岡県出身。
2013年度改編で女性契約職のみとなった。正社員で『TNCスーパーニュース』アンカーを務めていた岸本貴博(2011年入社、琉球朝日放送から移籍)は現場専従に戻る。
以上の2つは、前述の福岡放送会館内に本社があった頃に使用。
ただし番宣番組は、変更後3か月間はてれビ〜ムTNCのままであった。
放送会館4階にてスタジオやマスタールームや各放送局のめざまし君の一覧などを無料で見学ができるようになっていたが、事情により2012年(平成24年)1月で閉鎖された。
以下のケーブルテレビでは、TNCの再送信が実施されている。地上デジタル放送では日本民間放送連盟が「特例地域」(後述)におけるNNN/ANN/JNN/FNNのうち存在しない系列を除き区域外再放送を禁止する方針を打ち出しているが、実際には下記のように特例地域以外の県へ区域外再放送されている。
佐賀県については徳島県とともに地元の民放テレビ局が1社しかない(佐賀県はサガテレビ (sts))ことから「特例地域」としての位置付けである。だだしstsがTNCと同一系列であるため本来なら区域外再放送の対象とはならないが、TNC側が地上デジタル放送においての区域外再放送に同意し、stsもTNC再送信の許可を出した。
大分県のケーブルテレビ局でもTNCの地上デジタル放送の区域外再放送を2007年(平成19年)4月 - 2009年(平成21年)4月までに開始した。これは、大分県の民放テレビ局・テレビ大分が日本テレビ系列とフジテレビ系列のクロスネットを行っており、放送格差を無くそうとした行政の働きかけによる結果である。
FNS系列局がない山口県内の一部のケーブルテレビ局も再送信は継続しており、デジタル放送も順次開始された。反対にFNS系列のフルネット局・テレビ長崎がある長崎県では、紆余曲折の末有明海沿岸・壱岐・対馬などの各業者がTNCのデジタル波の再送信を実施している。
※太字はデジタル波も再送信
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou